2019 Fiscal Year Annual Research Report
ゲーミフィケーション・機械学習を利用した幼児の自己身体認識評価課題の開発と評価
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19H04019
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
宮崎 美智子 大妻女子大学, 社会情報学部, 准教授 (90526732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 智久 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (50712014)
石塚 綾子 (麦谷綾子) 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (70447027)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 身体地図 / 自己像 / 発達 / 自己 / ゲーミフィケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
鏡を見て鼻を触るとき、見えない身体部位の位置を把握する固有感覚ベースの身体地図が働く。その発達過程の検討は、方法論上の難しさから観察主体でしか行われてこなかった。本研究では、ゲーミフィケーションを取り入れることで、幼児の身体地図の発達を定量的に評価できる新たな課題を開発、評価する。具体的には、自己映像の身体各部位に拡張現実(AR)を用いてマークを表示し、幼児が実物の自己身体に対応づけて当該部位を定位できるかを評価するゲーム様の課題である。
2019年度は、プロトタイプとして作成した顔版課題での開発経験を生かし、全身拡張版の新課題を実装、妥当性の評価を行った。プロトタイプ開発で使用したMicrosoft Kinectによる骨格検出では、身体の小さな幼児の骨格検出は外れやすく、親子で並ぶと一人に判定されてしまうなど、不安定さが課題だったため、画像解析のみで骨格推定が可能なOpenPoseを使用して課題開発を行った。2~3歳の幼児親子およそ50組を対象に行動実験を実施し、妥当性の評価を行った。その結果、いずれの年齢の参加者もほとんどの試行に取り組むことができ、身体部位定位の課題として申し分ない検討ができることが分かった。各試行に対する反応を詳細に映像解析することにより、身体部位定位中の運動データも抽出できることが分かり、身体地図獲得の発達過程を検討できることが分かってきた。これまでの成果は、関連国際学会(vICIS2020)にて発表の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
OpenPoseを用いた課題開発は当初困難が予測されたが、優秀なエンジニアに研究協力者として加わってもらえたため、大変順調に開発がすすめられた。また、行動実験におけるデータ取得にあたっても、いただいた研究資金により実験管理補助を委託することが叶ったため、研究代表者はデータ取得のスキルを磨くことに専念でき、大変スムーズに比較的良質なデータを取得することができた。また、次年度以降のデータ取得に備え、大妻女子大学だけでなく、幼児実験を実施可能な日本女子大学にも実験環境を構築することも叶った。さらに、共同研究者の尽力により、幼児ならではのノイズの混ざる運動データから意義深い指標をある程度自動化して抽出できそうなことも分かってきた。 これらのことから、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、COVID-19の状況によって行動実験に着手できるかが不明であるため、まずは運動データの詳細な解析を進める。既発表の、Miyazaki, Asai, & Mugitani(2019)で示したようなエラー先に選ばれやすい顔部位を可視化するネットワーク分析や、月齢・エラー先・反応時間を統合的に表現するヒートマップ解析、機械学習によるリーチングの運動軌跡の解析などを試みる。このようなリッチな運動データの解析により、幼児期初期における身体地図発達の様相を精緻に明らかにする。また、状況が叶えば、成人を対象とした行動実験を実施し、成人と幼児のデータとの比較を進めて行く。
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