2020 Fiscal Year Annual Research Report
Neurophysical approach in beneficial physiological changes induced by the specific taste through the axes of digestive tract, brain and peripheral tissues
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19H04036
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
越阪部 奈緒美 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (30554852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平 修 福島大学, 食農学類, 教授 (30416672)
安達 貴弘 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50222625)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機能性食品 / 脳腸相関 / 渋味 / 辛味 / ストレス応答反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
・特異的味成分投与直後のニューロトランスミッターおよび関連遺伝子変動の解析 :昨年度、マウスにエピカテキン四量体であるcinnamtannin A2(A2)を強制経口投与した直後に、ノルアドレナリンシグナルをMSイメージング法で観察したところ青斑核・視床下部・脳幹に顕著なシグナルが観察された。そこでLC-MS/MS法を用いたカテコールアミンおよびその代謝物を同時定量する方法を開発した。またマウスにA2を投与した後に代謝ケージ内で24時間尿を採取し、カテコールアミン類排泄量を測定したところA2投与により、有意に増加することが明らかとなった。本研究成果を、2020年日本農芸化学会関東支部大会にて発表した。 ・特異的味成分反復投与後の神経細胞新生およびスパイン伸張の解析:マウスに10日間 A2を経口でまたBromodeoxyuridine【BrdU】を腹腔内投与した後に、得られた脳のサジタル面で凍結切片を作成し、BrdUを観察したところ、海馬・歯状回における顕著な陽性細胞数の増加が認められ、神経新生像が確認された。これらの結果を2021年3月に行われた農芸化学会にて発表した。 ・特異的味成分反復投与後の自律神経調整を介した循環・代謝亢進作用の確認: マウスに14日間 A2を強制経口投与した後に、精巣上体周囲脂 肪(eWAT:内臓脂肪)、鼠径部脂肪(iWAT;皮下脂肪)および褐色脂肪(BAT)を摘出し、凍結切片を作成後、病理学的観察を行った。iWATにおいて、顕著な細胞サイズの縮小・脂肪滴の多房化が認められ、脂肪のベージュ化が観察された。また同時に有意な熱産生タンパク質(UCP-1)の発現増加がiWAT・BATで見られた。eWATにおいては、有意なベージュ化マーカーである遺伝子群の発現増加が見られ、これらの変化はA2による交感神経活動亢進のためであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年に計画していた自律神経調整を介した循環・代謝亢進作用の確認を前倒ししたため、当初2020年度に計画していたスパイン伸張は2021年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に予引き続き特異的味成分反復投与後のおよびスパイン伸張の解析をゴルジ染色法を用いて実施する。また特異的味成分反復投与後のストレス耐性獲得作用については、社会的敗北ストレスモデルを用いて、オープンフィールド試験および新奇物体認識試験などの行動薬理学試験およびその際のニューロトランスミッター動態について観察する予定である。
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