2020 Fiscal Year Annual Research Report
体脂肪分布が臓器機能障害におよぼす影響についての大規模疫学研究
Project/Area Number |
19H04040
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
甲田 勝康 関西医科大学, 医学部, 教授 (60273182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 晴信 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10322140)
藤田 裕規 近畿大学, 医学部, 講師 (10330797)
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 疫学 / 生活習慣病 / 体脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
過体重や過剰脂肪による肥満は種々の健康障害を合併する。一方で正常体重にも関わらず肥満者のような臓器機能障害をもつ者が存在する。Metabolically obese, normal-weight (MONW) individualsと呼ばれており、アジア人に多い。アジア人は皮下脂肪に比べて内臓脂肪が多いことが理由かもしれない。つまり、脂肪の量だけでなく分布にも注目する必要がある。DXA法は体幹部脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)と四肢脂肪(皮下脂肪)を部位別に精密に測定する方法で、体脂肪の分布状態を評価できる。 2020年度も、本研究組織が2007年から継続しているDXA法を用いたJapanese Body Composition Study(芽室・喜多方・西会津・上越・三島・袋井・浜松・奈良・橿原・香芝・淡路・姫路・讃岐・宮古島、7000名以上のデータを蓄積)において、脂肪分布と臓器機能障害について検討した。 喜多方市の小児の追跡データでは、DXA法で測定した小学校高学年の脂肪分布は、体脂肪量とは独立して中学生時の血圧に関連することが示唆された。また、奈良市・橿原市の高齢男性の横断研究のデータでは、DXA法で測定した脂肪分布は、体脂肪量とは独立して血清脂質やインスリン抵抗性に関連することが示された。これらの結果は、査読付き英文論文2編に取りまとめ学術雑誌に掲載した。また、これまでに蓄積している資料の中には凍結血清が含まれている。2020年度は、ELISA法で当該血清中のアディポカイン数種類の測定を開始した。加えて、姫路市で小学生の調査を企画し、学校においてDXA法による部位別体脂肪測定を実施すると共に、それに関連した検査・調査を行い、今後の解析のためのデータとして蓄積した。 なお本研究は、近畿大学医学部倫理委員会および関西医科大学倫理審査委員会の承認に基づいて実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はコロナ禍の影響で、研究開始時(2019年)に予定していた Japanese Population-based Osteoporosis study の一部対象地域の調査が延期になった。しかしながら、それに必要なエフォートおよび研究費を、保存血清の分析や英文論文の執筆に回すことができた。さらに、姫路市での小学生の疫学調査は、コロナ禍にあっても、学校の十分な協力体制の下で、感染対策を徹底しながら問題なく調査を終了できた。2019および2020年度の研究組織や研究方法は、交付申請の内容と相違なく、これまで重大な問題は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降もコロナ禍の影響を受けると予測されるが、研究開始時の研究計画に従い、2020年度と同様に感染対策を徹底したうえで、全身型体脂肪測定装置搭載車両(DXA車両)を地域や学校等に派遣し、部位別体脂肪を測定し、データ蓄積を継続する。本研究組織は、各地の学校関係者や地域の各団体と有機的連携がとれており、この有機的関係を駆使して疫学調査を実施する。加えて、以前から保存されている資料・情報を用いて体脂肪分布と臓器機能障害について分析すると共に、研究成果を学会や論文で発表する。研究は近畿大学医学部倫理委員会および関西医科大学倫理審査委員会で承認された研究計画に基づいて実施する。
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