2021 Fiscal Year Annual Research Report
体脂肪分布が臓器機能障害におよぼす影響についての大規模疫学研究
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19H04040
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
甲田 勝康 関西医科大学, 医学部, 教授 (60273182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 晴信 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10322140)
藤田 裕規 近畿大学, 医学部, 講師 (10330797)
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 疫学 / 生活習慣病 / 体脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
内臓脂肪の蓄積は、アディポサイトカイン等の生理活性物質を介して、臓器機能障害を伴うことが多い。一方、皮下脂肪の減少は高中性脂肪血症や肝臓や骨格筋など異所性脂肪の蓄積による臓器機能障害を引き起こすことが指摘されている。つまり、脂肪の量だけでなく存在部位にも目を向ける必要がある。DXA法は体幹部脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)と四肢脂肪(皮下脂肪)を部位別に精密に測定する方法で、体脂肪の分布状態が評価できる。 本研究組織では、2007年から芽室、喜多方、西会津、上越、三島、袋井、浜松、奈良、橿原、香芝、淡路、姫路、讃岐、宮古島において、DXA法を用いた疫学調査を行っており、小児から高齢者7000名以上の体脂肪分布に関するデータを蓄積している。また、調査試料には凍結血清も含まれており、一部は関西医科大学の超低温冷凍庫で保管されている。 本研究課題でも2019年度から2021年度にかけて、DXA法を用いた疫学調査を各地で行い、新たに体脂肪分布に関する試料・情報を蓄積した。2021年度は全国で新型コロナウイルスが蔓延し、疫学調査の実施が困難であったが、調査対象となる姫路市立小学校の十分な協力体制の下でDXA法による部位別体脂肪測定調査を実施することができた。同時に、2019年度に実施した奈良県在住男性高齢者調査(Fujiwarakyo Osteoporosis Risk in Men study:FORMEN study)のデータを用いて体脂肪分布と腎機能について解析を行い、その結果、両者の間に関連性がみとめられることが新たに示唆された。さらに、HMGB1、Irisin、TNF-a、IL-6についてELISAを用いて保存血清中の濃度測定を開始した。 なお本研究は、近畿大学医学部倫理委員会および関西医科大学倫理審査委員会の承認に基づいて実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はコロナ禍の影響で、研究開始時(2019年)に予定していた成人女性の25年間追跡調査(Japanese Population-based Osteoporosis study)の一部対象地域の調査が延期になった。しかしながら、この調査に必要であったエフォートおよび研究費を、FORMEN studyのデータ解析や保存血清中のアディポカインの測定に回すことができた。さらに、姫路市での小学生の疫学調査は、コロナ禍にあっても、学校の十分な協力体制の下で感染対策を徹底しながら問題なく調査を終了できた。2019から2021年度の研究組織や研究方法は、交付申請の内容と相違なく、これまで重大な問題は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、本研究課題の最終年度となるため、過去に蓄積した試料(保存血清)の分析や情報について統計解析を行うとともに、研究成果の総括を行う。内臓に過剰に蓄積した脂肪組織は、生理活性物質を介して様々な臓器機能障害を引き起こすことが指摘されている。2022年度はこの保存血清を用いて生理活性物質の濃度を測定し、その分析結果と体脂肪分布との関連性について検討する。なお研究計画は、研究代表者および研究分担者が所属する研究機関の倫理審査委員会の承認および研究機関長の許可に従って実施する。
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