2019 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on immunity and anti-inflammatory mechanisms regulated by diet and intestinal microenvironment
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19H04042
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
辻 典子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (30343990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 隆 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (10378052)
廣岡 芳樹 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50324413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小腸 / 乳酸菌 / 抗炎症 / インターフェロン / パイエル板樹状細胞 / 小腸内視鏡 / 腸管免疫 / 免疫恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸菌は小腸の主要な常在細菌であり発酵食品などからも日常的に摂取される。乳酸菌のプロバイオティクス機能は良く知られているが、我々は乳酸菌に特有の免疫活性化ならびに抗炎症機構をみいだしてきた。特に二本鎖RNAは乳酸菌が特徴的に保有し、小腸において効率よく自然免疫シグナルを付与する成分として注目している。食品由来乳酸菌で明らかとなった免疫賦活の分子メカニズムを、小腸乳酸菌についても示すことにより、小腸共生環境を起点とした免疫制御(感染予防および慢性炎症性疾患に対する予防)に役立てることを目的としている。 20種類の発酵食品由来乳酸菌についてマウス骨髄細胞由来樹状細胞と共培養を行い、インターフェロン(IFN)などサイトカイン誘導活性を解析した。活性の高い一部乳酸菌株については、二本鎖RNAの含有量や配列を解析した。数百塩基の二本鎖RNAが同定され、二本鎖RNAの自然免疫レセプターであるToll様レセプター3(TLR3)を活性化するために十分な鎖長であることが確認された。TLR3遺伝子欠損マウスから小腸乳酸菌を分離し、IFN誘導活性および便中の微生物叢を解析して野生型マウスと比較した。 ヒト由来試料については乳酸菌の分離のため回腸末端からのブラシによる検体が採取された。また、小腸・大腸の粘膜面細菌(MAM)がクローン病(CD)の病態と関連する可能性から、CD患者と非CD患者の小腸・大腸のMAM、糞便の細菌叢について検討した。2群の菌叢を属レベルで比較した結果、回腸、S状結腸、糞便において占拠率に2群間で差を認めている。今後ヒト小腸乳酸菌で作成したノトバイオートマウスの免疫応答能ならびに抗炎症機能を評価する。得られた成果は近年急増するアレルギー疾患や炎症に起因する症候群、発がんの予防に資するとともに、免疫恒常性維持機構としてヘルスケアの技術開発基盤ともなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食品由来乳酸菌と小腸共生乳酸菌が共通に有する免疫賦活メカニズムを明らかにし、臨床やヘルスケア産業に応用していくことを目指す中で、初年度は複数の伝統発酵食品由来乳酸菌の中からインターフェロン(IFN)産生誘導活性の高い菌株の選抜を行い、さらに2菌株について二本鎖RNAの配列の同定も行い、乳酸菌のゲノム情報との照合も行った。数百塩基の二本鎖RNAが同定されたことにより、これまでの細胞レベル、個体レベルで観察されていた効果を合成可能な物質として裏付けることができた点は非常に有意義である。また、野生型マウスとTLR3遺伝子欠損マウスからの小腸乳酸菌を解析することにより、乳酸菌とマウス腸管環境の共生関係の中で、宿主側の自然免疫レセプターが果たす役割を考察することができた。 ヒト臨床試験の面も順調に進んでいる。CD患者と非CD患者の小腸・大腸の粘膜面細菌(MAM)については、ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)下に十二指腸、空腸、回腸、S状結腸の粘膜をブラシで擦過することで粘膜組織に結合する細菌を採取した。検体からDNAを抽出後、V3-4領域の16SrRNAシーケンス解析を行った。8名のCD患者群、4名の非CD患者群、の解析を行ったところα多様性の比較ではShannon indexがCD患者群で有意に低かった。また、CDの糞便細菌叢で既報の多いFaecalibacterium属は回腸、S状結腸、糞便においてCD患者群で有意に占拠率が低い結果であった。2群の菌叢を属レベルで比較すると、部位ごとの占拠率に差を認めており、CD患者群と非CD患者群でMAMを含めて細菌叢は異なり、腸管の部位毎でも細菌叢が異なっていることが示された。DBEでのサンプル採取は世界的にも非常に貴重な技術であり今後の乳酸菌機能解析に活用していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後注力する研究領域として、名古屋大学病院で内視鏡を用いて採取された小腸内容物サンプルを活用し、乳酸菌の分離、培養、解析とそれら乳酸菌を用いたノトバイオートマウスの作成を行う。また、それらマウスにおける免疫細胞機能、とくに小腸樹状細胞の機能とT 細胞機能分化について評価する。ノトバイオートマウスの解析においては、個体が獲得する抗炎症能のメカニズム解析に加え、小腸と大腸の両者の微生物環境を再構築したヒトフローラマウスも確立されるため、【小腸細菌叢(乳酸菌)の性質- 大腸細菌叢 - 免疫機能】の相互の関係性も解析・考察可能となる。 名古屋大学においては炎症性腸疾患および健常の腸内環境についてサンプルの蓄積並びに代謝産物を含む生化学解析を継続する。腸内細菌叢データについては、ヒトフローラマウスの解析手法と同様に、小腸乳酸菌の特徴と大腸微生物の間に見られる相関ならびにヒト臨床データとの統合的解析を行う。
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Research Products
(10 results)