2020 Fiscal Year Annual Research Report
擬絶食療法によるβ細胞新生の効率化とその分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19H04060
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮塚 健 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60622363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿田 裕孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60343480)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | β細胞 / 擬絶食療法 / 糖尿病 / 再生医療 / 前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
全ての糖尿病患者ではインスリン分泌細胞である膵β細胞の容量が低下、あるいは廃絶しているため、糖尿病の根治を実現するためには失われたβ細胞を補充する必要がある。最近、絶食に近い食事を間欠的に繰り返す”擬絶食療法”が非β細胞からのβ細胞新生を誘導することが報告され(Chen C et al. Cell 168: 775-788, 2017)、糖尿病の新たな治療戦略として注目されている。しかし、その背景にある分子機構は未解明であり、また糖尿病再生医療を実現するためにはより効率的なβ細胞新生誘導法の開発が望まれる。そこで本研究ではβ細胞新生を組織学的に可視化するレポーターマウスを用いて擬絶食療法で誘導されるβ細胞新生の背景にある分子機構を解明するとともにより効率的なβ細胞新生誘導法の開発を目指す。 昨年度より新たに導入したIns1-CreER;ROSA26-mTmGマウスでは、β細胞特異的にCre酵素を発現し、Cre-mediated recombinationの前後でmTomatoからmGFPへと蛍光タンパク質の発現をスイッチする。この特性を利用することにより新生β細胞は緑色蛍光陽性かつ赤色蛍光陽性の細胞として、既存のβ細胞は緑色蛍光陽性、赤色蛍光陰性の細胞として区別される。 このマウスにアロキサンを用いて高血糖を誘導した後、擬絶食療法(50%カロリー制限食を1日間、90%カロリー制限食を4日間、その後通常食を7日間給餌するサイクルを5回繰り返す)を行ったところ、一部の膵島内に赤色蛍光陽性かつ緑色蛍光陽性の新生β細胞を観察することに成功した。通常食マウスではβ細胞新生を示唆する細胞群は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初使用予定であったレポーターマウスの膵島では胎仔と成体マウス間で蛍光特性が大きく異なったため(gene silencingの影響と考えられる)、使用するレポーターマウスを大幅に変更することにした。またCOVID-19第一波の際に、マウスコロニーを大幅に縮小した影響もあり、実験を再び軌道に乗せるのに数ヶ月を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
Ins1-CreER;ROSA26-mTmGマウスに擬絶食療法を誘導した際の新生β細胞数を定量化するとともに、新生β細胞と周辺環境(血管、膵管ほか)との位置情報を解析する。
FACSにより新生β細胞を単離し、bulk RNA-sequencingおよびsingle-cell RNA-sequencingを行うことにより、新生β細胞と膵島内に内在する既存のβ細胞との相同性および相違性を明らかにする。
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