2019 Fiscal Year Annual Research Report
クラウド側とエッジ側機器の動的な協調に基づく自律分散共進化AI基盤技術の研究開発
Project/Area Number |
19H04099
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中澤 仁 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (80365486)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須山 敬之 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, その他部局等, 主幹研究員 (80396134)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 知的センシング / 共進化 / クラウド / エッジ |
Outline of Annual Research Achievements |
クラウド側とエッジ側が共進化する分散AI基盤システムを構築し、以下の2点について研究開発を進めた。まずエッジ側すなわち移動中の車両等の側では、常に最新の学習済みモデルを用いて画像や音声を含む様々なセンサデータをリアルタイムに知的に処理し、大規模広域に自律分散かつ並列な実時間知的センシングを可能とするプロトタイプシステムを構築した。具体的には、地方自治体の保有する清掃車のカメラ画像を入力として、単一クラスの物体検出と追跡に関し、深層学習の物体検出モデル(SSD、yolo、M2det)と物体追跡手法(IoU、SORT)の組みわせを主体としながら、モデルの層削減が画像のリアルタイム処理に与える影響を検討した。 クラウド側との協調によるエッジ側の最適化技術の研究に関しては、以下の実績が得られた。まず初めに最新のセンシングデータを用いてクラウドで生成された学習済みAIモデルをエッジノードへ転送、またはエッジノードの要求に応じてクラウドとエッジを協調動作させることによりリアルタイム知的センシング処理を最適化する技術を確立する。そのために必要となるエッジノード上の機械学習モデル動的更新技術について検討を行った。移動する車等の環境にエッジノードを配置しセンシングを行う場合、外部環境や新たイベントの抽出等のユーザニーズは時間の経過と共に変化する可能性が高い。エッジでAI処理を行う際にはそのような変化に追随するようエッジでの処理を変化させていく必要が生じる。まずセンサノード上のモデルを変更する必要があるかどうかを判断するため、センサノード上のセンサが異常な値を出力しているかを検知するための機能について検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エッジ側のリアルタイム知的センシングにおいては、深層学習の物体検出モデル(SSD、yolo、M2det)と物体追跡手法(IoU、SORT)の組みわせにおいて、SSD(5層)とYOLOv3(Tiny288)の2つのモデルで有効な検出精度(AP>70)と性能(フレームレート>15fps)が達成可能であることが明らかとなった。実験を通じ、VGG-16と、それを5層まで削減した場合の比較において、単一クラスでの検出精度には有意な差が生まれない、すなわち5層まで削減しても有効な精度の検出が行えることが明らかとなった。これに加えて5層ではVGG-16と比較して2倍以上の処理性能が得られることが明らかとなった。これらにより本年度は、エッジ側での画像のリアルタイム知的処理の基礎が構築できた。 エッジノード上の機械学習モデル動的更新技術について検討を行った。エッジノード上のモデルを更新するためにはまずモデル更新の必要性を何らかの方法で検出する必要がある。例えばセンサノード上にあるセンサが当初想定したセンサ値と異なる値を出力した場合は初期のモデルではセンサノードでユーザが意図した動作ができなくなる。ここではセンサが通常と異なる値を出力していることを判定する手法として、ニューラルネットワークによるオートエンコーダをベースとした方式を検証した。オートエンコーダは入力と出力が同じ値になるように学習したニューラルネットワークであり、入力と出力が異なる値であれば未知のデータ、すなわち想定していない値を取っていると考えられる。ニューラルネットワークは汎化性能があるため、適切なパラメータやネットワークの構造の検討を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
エッジ側でのリアルタイム知的センシング技術について、深層学習の物体検出アルゴリズムを改良し、物体周辺に関する文脈を画像とともに入力して、物体とそれを取り巻く状況の双方を検出可能にする。例えばゴミ袋を検出する際に、それが家屋前に置かれている時と、林の中に置かれている時とでは、後者は高い確率で不法投棄物であると言える。また家屋前に置かれている時でも、ゴミ収集日以外であればそれは残渣であると言える。このような、物体が置かれている状況に適応的に検出結果を出力する技術を確立し、実世界での本技術の応用可能性を高める。この目的を達成するために、神奈川県藤沢市の清掃業務従事者の協力を得て、落書きや不法投棄物、道路のダメージ等、人の目でのみ判断できる事象の画像データセットを構築し、実験に供する予定である。 エッジノード上の機械学習モデル動的更新技術について、これまでセンサノード上の異常値検出方法について基本的な検討を行った。今後はまずより精度よく異常値を検出するためソフトウェアシミュレーションを用いてニューラルネットワークの構造及びパラメータの検証を行う予定である。またセンサノードを車などに搭載しセンサノード上で実際にオートエンコーダを動作させることにより、本方式の有効性の検証を行う予定である。また複数エッジノードの半自動的動作変更技術については多数のセンサノードをコントロールするための手法を検討する予定である。
|
Research Products
(8 results)