2020 Fiscal Year Annual Research Report
大規模情報指向ネットワークのモデル化とプロトコル設計
Project/Area Number |
19H04104
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大崎 博之 関西学院大学, 工学部, 教授 (00294166)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 情報ネットワーク / ネットワークアーキテクチャ / 情報指向ネットワーク / 大規模ネットワーク / ネットワークモデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、従来のTCP/IPネットワークのような情報を転送するホストを主体としたネットワーク(ホスト指向ネットワーク)ではなく、転送されるデータを主体としたネットワーク(情報指向ネットワーク)が注目を浴びている。本研究では、大規模な情報指向ネットワークのためのトランスポート層プロトコル設計論を確立し、効率的なトランスポート層プロトコルを実現することを目的としている。2020年度は、2019年度に構築した情報指向ネットワークの流体モデルを組み込んだフローレベルシミュレータFICNSIM (Fluid-based ICN SIMulator)を開発した。柔軟で多様なシミュレーションを可能とするため、FICNSIMは軽量言語であるPythonで実装した。FICNSIMで実装した流体近似モデルは、すべてのノード(コンテンツ要求クライアント、コンテンツ提供サーバ、コンテンツルータ)の入出力がすべてパケットの転送レートで表現されている。このため、それぞれのノードを自由に接続したネットワークトポロジのシミュレーションが可能である。これに加えて、TCP/IPネットワークのための代表的なトランスポートプロトコルであるTCP CUBICの輻輳回避アルゴリズムの情報指向ネットワークへの適用可能性についても検討を行った。具体的には、FICNSIMにTCP CUBICの輻輳回避アルゴリズムを用いたトランスポートプロトコルの流体近似モデルを実装することにより、さまざまな環境下におけるトランスポートプロトコルの特性を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した当初の研究計画におおよそ従って進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したフローレベルの情報指向ネットワークシミュレータFICNSIMのさらなる高速化・高機能化に取り組む予定である。また、TCP CUBICに代表される、TCP/IPネットワークのためのトランスポートプロトコルのウィンドウフロー制御方式を情報指向ネットワークに応用することにより、コンテンツ配送、スループット、パケット損失率、競合するフロー間の公平性、下層ネットワークの変動に対するロバスト性の観点から良好な特性を有するトランスポート層プロトコルの実現を目指す。
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