2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H04141
|
Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
鳥井 秀幸 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (20343642)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上平 員丈 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (50339892)
鈴木 雅洋 常磐大学, 人間科学部, 助教 (30397046)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 3Dプリンタ / 情報埋め込み / 磁気記録 / 蛍光色素 |
Outline of Annual Research Achievements |
機能材料による3Dプリンタ造形物の高機能化について基礎検討を進めた。本研究では母体材料として樹脂の使用を前提としているが,樹脂は他の種類の分子を配合して様々な特性や機能をもつ素材とすることができる。2019年度は以下の2種類の材料を配合した樹脂により内部パタンを形成して、造形物内への情報埋め込みにおける高機能化の可能性を実証した。 (1)蛍光色素配合による読み出しの高精度化 内部のパタン領域を微量の近赤外蛍光色素を配合した樹脂で形成する方法を検討した。蛍光色素は、近赤外光が照射されると励起されて蛍光を発する。この波長は照射光の波長と異なるので、適当な光学フィルタの使用により内部パタンから発した光のみカメラに取り込むことができる。このため、高S/N、高コントラストで内部パタンの撮像が期待できる。PLA樹脂に1%未満の微量の色素を配合した樹脂を用いてサンプルを試作して、内部パタンの読み取り精度を評価した。この結果、表面からの深さが1mm程度以下にパタンを形成すれば高輝度で高コントラストのパタン像が撮像できることがわかった。この条件でQRコード等を埋め込み、精度よく読出しが可能であることがわかり本方法の実現性を確認した。 (2)メモリ材料による情報の書き換えの可能性の確認 メモリ材料として鉄ナノ粒子を配合した樹脂を用いて情報の埋め込みと書き換えの可能性を検討した。鉄は磁性体なのでこの樹脂で内部パタンを形成すれば磁気記録により造形物内部に書き換え可能な情報保存が期待できる。本研究では、造形物内部に1mm角の微小な内部パタンを表面から1mmの深さに2mmの間隔を置いて多数形成した、外部から磁界を印加することで、これらの内部パタンを独立に磁化できること、さらに磁化された内部パタンの磁化の方向を外部で測定できることを確認し、3Dプリンタ造形物内部への書き換え可能な情報記録の実現性を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、1)高精度の読み出しを可能にする埋め込み条件の明確化、2)機能材料による高度化、高機能化の可能性の明確化を目的とした。このうち、2)については当初計画では蛍光色素による機能化のみを対象としたが、磁性材による機能化についても実現性を確認することができた。一方、1)については、2)の実験の中で概ね埋め込み条件を確認できたが詳細な条件については今後明らかにしていく。以上から、項目ごとに進捗の差はあるものの全体的には概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
機能材料による高機能化の実現性が確認できたので、今後はこれらの材料を使用した場合について、高密度の情報埋め込みに向けた最適な製造条件を明確にしていく。そして、その結果に基づいて埋め込み可能な情報量を明らかにする。これより可能な応用を明確にするとともに新規応用の開拓にも努める。 また、将来の実用に向けて情報の埋め込み、読出しを実行するためのデバイス(リーダ、ライター)について検討を開始する。
|
Research Products
(3 results)