2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H04180
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 信 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90294280)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳型人工知能 / ブレイン・マシン・インターフェース / 順逆強化学習 / 模倣学習 / ソフトコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
2019度の研究課題は3つあった。「被験者転移型デコーディングからみる個性の神経基盤」については、被験者間転移行列に基づく個人認証アルゴリズムを開発し、転移行列には、被験者の状態に依存した雑音成分以外にも個人認証に関わる成分があることを示し、学術論文として発表した(Nishimoto, et al., 2020)。「マルチタスク環境への適応からみる脳の転移学習の神経基盤」については、半年間の計画延長を行ったことで予定していたPOMDP課題を用いた行動および脳機能イメージング実験を完了した。イメージング実験データの解析を行った結果、自己の不確実性を評価する脳内神経基盤が明確になった。「転移学習の人工知能への応用」については、 階層型POMDP迷路を用いた意思決定課題について、ヒトの行動とある程度の整合性がありつつ準最適に行動することのできる人工知能エージェントの作成に成功した。加えて、報酬と罰が共存する迷路探索課題において、従来の強化学習法よりも効率の良い学習を達成する学習法を開発し、学術論文として発表した(Fujita, et al., 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度計画は、「マルチタスク環境への適応からみる脳の転移学習の神経基盤」および「転移学習の人工知能への応用」において半年間の延長を行った。その結果、計画は達成された。一方で、報酬と罰が共存する迷路探索課題において従来の強化学習法よりも効率の良い学習を実現(Fujita, et al., 2019)するなど、当初計画にない新たな展開があった。これは、共同研究者のマウス大脳基底核回路の実験に基づくものであるので、まさに脳の学習法に倣った人工知能技術として意義深い。このように、当初計画自体は延長されたものの、新たに興味深い進展がありそれを踏まえたさらなる展開が見込まれることを考慮して、(2)「おおむね順調に進展している」と評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
「被験者転移型デコーディングからみる個性の神経基盤」については、脳波ベースの個人認証法の開発を完了(Nishimoto, et al., 2020)ので、今後は被験者間のコミュニティ構造を用いた脳情報デコード法の開発に展開する。「マルチタスク環境への適応からみる脳の転移学習の神経基盤」については、特にイメージング実験の被験者数を増やし、また、ベイズ型の行動モデルを用いることで、被験者の内部状態推定を用いた解析へと展開する。その結果を含めて、学術論文として発表できるレベルにする。「転移学習の人工知能への応用」については、ヒトまたは動物の行動をシミュレータに転移することを課題として、順逆強化学習、順逆モデル予測制御の両面からアリゴリズムの開発を進める。
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