2020 Fiscal Year Annual Research Report
複眼水中ロボットの実海域充電実証と両眼転導による広範囲/高精度空間認識
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19H04190
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
見浪 護 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80262608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自律型水中ロボット / 複眼カメラ / 立体空間認識 / 模擬充電実験 / ドッキング / 自律型知能ロボット / 海底資源探査 / 長期連続航行 |
Outline of Annual Research Achievements |
気中(水中に対して陸上を「気中」と呼ぶ)ではGPS機能を用いた位置同定が可能であるが、水中では電波が届かないため不可能である。また音波による環境計測はメートル単位の精度であり、水中の計測技術は未熟である。そこで、複眼で動画像を認識し空間計測に基づいてロボットを制御するビジュアルサーボ技術を水中ロボットに応用し、水中での自動充電を可能とする自動ドッキング(以下、嵌合)制御技術について研究を続けてきた。その結果深海底での継続的運用が可能なロボット作業の実現につながる自律水中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)の自動充電模擬実験(仮想充電ステーションとの嵌合を意味する)の実海域実証実験に成功した。さらに発光3次元マーカーを考案することで、深海底を模擬した漆黒光環境と海底泥舞上り条件下での実海域嵌合にも成功した。これにより、深海底で自動充電可能な実用的システムの構築と実海域での資源回収などのタスクを全自動で行う海底知能ロボットシステムの構築を目指す。 2020年度に造船会社との共同研究を実施するとともに、科研課題テーマの研究を進めた。本学が開発した実時間複眼3次元立体認識(3D-MoS: 3 Dimension Move on Sensing)計測装置を、同社所有の航行型水中ロボットに搭載し、自動嵌合実証実験を行った。また、岡山大学所有の水中ロボットにも搭載し、計測と制御の両方を本学が行ったところ、嵌合に成功した。今後、共同研究を継続する予定である。 この嵌合技術は、洋上で調査船からのAUVの投入・揚収作業を安全に行うための技術として利用できるとともに、海底での自動充電を可能にするため、長期間連続航行を要する海底資源探査・回収や海中未確認生物の生態調査など、AUVの長時間海底作業の実現には不可欠な技術である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に造船会社との共同研究を実施し、2020年12月25日、同社内水槽にて、本学が開発した実時間複眼3次元立体認識(3D-MoS: 3 Dimension Move on Sensing)を、同社が所有する航行型水中ロボットに搭載し、自動ドッキング実証実験を行った。また、2021年1月、岡山大学所有の水中ロボットを用い、計測と制御の両方を本学が行ったところ、ドッキングに成功した。 この実験成功には、以下の効果が期待されるため、2021年度の成功が望まれる。 一つはドッキング技術による海中でのAUVの投入・揚収作業であり、この技術により海面上で風波の影響を受けながらのフッキング作業を回避することが可能となる。もう一つは、実海域海底でのAUVのドッキングにより自動充電を可能とし、長期間の作業タスクを遂行できる自動ロボット実現につながる。これは、ドッキング・充電・位置姿勢誤差リセット・離脱・旋回・回遊(仮想タスク)・帰還・ドッキング・・・の自律作業サイクルを継続して繰り返す海底作業ロボットの実現に不可欠な技術である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に、造船会社所有の航行型水中ロボットを用いて、同社内水槽にて、ドッキングの実証実験を行う。その後、瀬戸内海にある岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所沖の常設実海域実験場にて、ドッキングの実証実験を行う。牛窓沖での実験に成功後、太平洋深海底での実証実験を目指す。
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