2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of viscoelastic trunk mechanism that promotes and transitions multi-modal legged locomotion
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19H04193
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田熊 隆史 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40437372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 伸也 京都大学, 工学研究科, 講師 (60432366)
杉本 靖博 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70402972)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脚歩行ロボット / 体幹機構 / 柔軟性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では脚ロボットが多様な形態の歩行を実現するため,前肢後肢の中間に位置する体幹機構に粘弾性を有する関節を取り付け,体幹関節の粘弾性および関節の回転の向きが二脚四脚双方に及ぼす影響について調査を行う.2019年度は二脚四脚それぞれのシミュレーションモデル,実機に対して体幹構造が各歩行に及ぼす影響について調査を行った.田熊は二脚ロボットを対象に,柔軟体幹と腕振り運動が歩行の安定性に影響を与えることを数理モデルと実機を用いて明らかにした.また四脚ロボットを対象に,粘弾性を有する体幹関節の取り付け位置に応じて粘弾性を適切に調整することで,体幹が剛体の四脚ロボットよりも高速に移動が可能であることを示した.青井は多脚ロボットを対象に,体幹関節の柔軟性によってピッチフォーク分岐を介して直線歩行が不安定化する構造や,センサフィードバックによって進行波や後退波など異なる歩容が形成されることを明らかにした.杉本は昆虫ロボットを対象に,他の昆虫には見られないバッタ特有の歩容に着目し解析を行うとともに,前中脚と比べ長い後脚や,床反力の進行方向成分のフィードバックがその歩容発現に対して大きく影響していることを明らかにした.また空気圧人工筋肉を対象に,張力フィードバックを用いた制御則により実現された,拮抗する二つの空圧筋の自律的かつ様々な協調運動について理論的解析を行った.このように各歩行形態についてつぶさに調査することで,歩行に必要な体幹の設計指針が徐々に明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は当初の目的であった,二脚四脚個別のモデルに対する適切な体幹関節の設計指針確立について,いくつかの重要な成果を得ることができた.ひとつは二脚ロボットを対象に,腕振り運動とそれに連動して振動する体幹関節によって,歩行の安定指標であるCoP(Center of Pressure)が操作可能であることを数理モデルおよび実機で明らかにすることができた.また四脚ロボットではバウンス歩行を対象に,高速で移動できる体幹関節の位置と弾性の関係をシミュレーションを用いて示すことができた.多脚では体幹の柔軟性により直線歩行が不安定化することを数理モデルを用いて示すことができた.バッタを模した昆虫ロボットではこれまでの対称な形に設計された脚ロボットにはない,特徴的な後脚に着目し,床反力の情報を用いることで歩容が発言することを示すことができた.このように,それぞれ異なる形態において,体幹機構が有効に働くことが数理解析および実機実験により示すことができた.従来,ロボットにおける体幹機構は剛体もしくは能動的に駆動する関節を有するとされてきたが,本研究では受動的な柔軟関節を体幹に取り入れることで,これまでのロボットでは実現できなかった運動やそのメカニズムの解明が可能であることが分かってきた.このような成果を受けて,次のステップである一つの機体による多様な歩行の実現に向けた準備を現在行っている.研究の進捗はおおむね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は二つの課題を一部オーバーラップしながら進めていく予定である.ひとつは2019年度に得られた知見を検証するための,実機やシミュレーションモデルによる実験である.もうひとつは単独の機体が複数の歩行を実現するための機構の検証である. 2019年度は一部の研究を除いて数理モデルでのみ検証を行った.数理モデルによる解析は単純な機構を対象に,理想的な環境下での運動を想定している.従って,想定していない重量バランスや床面の摩擦など,実世界での効果は未知である.そこで実機や物理シミュレータ上でモデルを構築し,数理モデルでの解析結果がどの程度実モデルでも適用可能かを確認する. 2019年度の取り組みにより,二脚や四脚など単独の歩行形態における機構設計,特に体幹関節の重要性について様々なことが明らかになった.そこで2020年度の後半からは,本研究の最終目的である,単独の機体による多様な歩行の実現を目指し,それらを誘発する体幹機構の設計を検証する.本年度は単純な数理モデルによる解析や機構要素の検証を行い,次年度はそれらを実ロボットに取り入れて体幹機構の有効性を検証する予定である.
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Research Products
(10 results)