2022 Fiscal Year Annual Research Report
Modeling of spatio-temporal dynamics of neuropil signals and its application to automatic cell detectors
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19H04203
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青西 亨 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (00333352)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルシウムイメージング / 自動細胞検出 / ニューロピル信号 / 動的モード分解 / 非負値行列因子分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
低計算コスト細胞検出アルゴリズム(LCCD):我々が開発したLCCDをCaイメージングデータ解析ツールOptiNiStに組み込み, Github(https://github.com/oist/optinist)で公開した. イメージングデータ解析の発展研究:ドーパミン (DA) がグルコース刺激によるインスリン分泌の負の調節因子として機能することが報告されている.ただし,その分子メカニズムは不明である, 我々は、全反射照明蛍光顕微鏡と我々の解析手法を用いて,初代培養膵島細胞におけるインスリン顆粒エキソサイトーシスを計測し,DA の影響を分析した(Diabetes, 71, 2022). プレパルス抑制(PPI)とは,先行して微弱な刺激を受けるとその後の刺激に対する驚愕反応が抑制される行動現象である.我々は,ショウジョウバエ幼虫におけるPPIの神経回路機序を数値シミュレーションによって調査を行った.既に同定されているハエ幼虫の神経回路モデル中の発見的に定められたパラメータを調整することで,同一のモデル,同一のパラメータによりPPIを含む複数の行動実験結果を再現できることを示した.そして,この神経回路モデルを用いてPPI発生時の各神経細胞の活動度の時間変化を解析することで,先行するprepulse刺激で誘発された特定の神経細胞の活性がPPIに強く関与している可能性を示唆し,その神経回路機序を示した. さらに, Cenutaurin gamma 1A変異体におけるPPI減弱の要因を推測し,その妥当性をシミュレーションにより示した.本研究の結果は,ショウジョウバエ幼虫におけるPPIの回路機序や精神疾患のPPI障害について有用な知見を与え,今後のPPI研究の指針の1つを与えるものである.本研究の成果を取りまとめて,Scientific Reports, 12, 2022に発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響により、オンラインによる研究室運営が中心となったため,学生や共同研究所との十分な意思疎通ができていない状況である.よって,研究の進捗が全般的に遅れている. ディープラーニングモデル: 申請者は,ディープラーニングモデルによる細胞検出手法の開発を行っている.ディープラーニングモデルの研究に苦戦している.先行研究での報告を再現しようと試みたが,論文等に記載されていない処理部分が多数あるため,報告されているような高い細胞検出性能を再現できない状況に陥っている.他の手法の開発を優先的に行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
多重解像度非負値行列の改良:申請者は,非負値行列因子分解(NMF)にもとづく自動細胞検出手法を開発してきた.今後もNMFを多重解像度に拡張した多重解像度NMFの改良発展を行う.これまでの多重解像度NMF は,同一対象から同一条件で解像度だけが異なるデータを対象としていた.多くの計測問題において、計測対象が同じであっても、この対象は時間とともに変化するため,全く同じ条件で解像度だけが異なるデータを取得するのは困難である.我々は,同一対象からの測定であるが条件が異なる多重解像度データの生成過程を多重解像度NMFの枠組みで定式化して,このモデルにおける因子行列計算を実現する新しいALS(Alternative Least Squares)アルゴリズムを構築する.そして,本手法により,測定条件が異なる多重解像度データの関係を抽出できることを示す.また,高画質画像のみを用いた通常のNMF と多重解像度NMFを比較することで,高画質画像のみを用いるより別サンプルの低画質画像も用いたほうが推定に有利であることを示す.我々が知るところ,NMFでこのような試みをした研究は存在しない.解像度が異なる多細胞活動イメージングデータに本手法を適用し,低空間解像度で高時間分解能のイメージングデータに対し,超解像が実現できるかを確認する. 動的モード分解(DMD)の適用:多細胞活動イメージングデータに DMD を適用する.これまでの研究で,多細胞活動イメージングデータより細胞集団活動とニューロピル信号が関連する動的モードを検出することができ,睡眠時と覚醒時で活動に関連するモードの数が変化することを確認できている.今後は細胞活動に注目し,睡眠時と覚醒時でのモードの変化の詳細を調査する.
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