2020 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of effect of dark dissolved inorganic carbon (DIC) fixation on oceanic carbon cycle
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19H04246
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
重光 雅仁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), 研究員 (20511695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 太一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 研究員 (00402751)
山本 彬友 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 特任研究員 (30794680)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DIC固定速度 / 細菌生産量 / 溶存有機物 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主として、1)海洋炭素循環モデルの開発を行うとともに、2)モデルのキャリブレーションに必要となる溶存有機物データを蓄積するため西部北太平洋における観測を2回実施した。
1)のモデル開発では、昨年度作成したモデルのプロトタイプをもとに開発を進めた。モデル中に、微生物に利用可能な易分解性溶存有機物および難分解性溶存有機物をモデルコンパートメントとして組み込んだ。さらに易分解性溶存有機物を利用できるバクテリア、易分解性溶存有機物の供給源となるアーキアを組み込むとともに、様々なパラメータスタディを行い、モデルの妥当性を検証した。
2)の観測では、コロナ禍にもかかわらず西部北太平洋における2航海を実施することができた。開発したモデルの結果を観測データと比較・検証する際に重要となる難分解性溶存有機物の指標として蛍光性溶存有機物(FDOM)および微生物のDNA観測を実施した。実施した航海は、KM20-08航海(2020年9月)およびMR21-01航海(2021年2ー3月)である。当初は、DIC固定速度および従属栄養細菌生産速度の測定も実施する予定であった。これらの測定に必要となるRIを船上で使用する場合、放射線取扱主任有資格者の乗船が必須となる。しかし、コロナウイルス感染対策として2020年度航海計画が、年度当初予定から大きく変更され、放射線取扱主任有資格者の乗船を準備できなかった。そこで、放射性同位元素を使用するDIC固定速度と従属栄養細菌生産速度の測定を実施する代わりに、FDOMおよびDNA試料の採取頻度を高め、難分解性溶存有機物および化学栄養/従属栄養に関わる機能遺伝子の空間分布パターンの高解像度解析を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由から順調に進展していると判断する。
これまでDIC固定速度のデータがなかったインド洋、南大洋、また西部北太平洋においてDIC固定速度、従属栄養細菌生産速度および微生物量を測定することができた。また、従属栄養微生物および独立栄養微生物を考慮した海洋炭素循環モデルにおいて、重要となる溶存有機物に関するパラメータもインド洋、南大洋、および西部北太平洋において取得することができた。さらに、従属栄養微生物および独立栄養微生物を考慮した海洋炭素循環モデルはほぼ完成され、これまでのデータを再現できるようパラメータ調整をしているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまで取得した微生物や溶存有機物に係るパラメータをまとめて解析するとともに、開発した海洋炭素循環モデルのパラメーターをチューニングを実施し、今年度前半で上記データを定量的に解析する。さらに、このモデルを用いて温暖化実験を実施することで、温暖化が微生物にどのように影響し、その結果どのように溶存有機物が影響され、最終的に海洋炭素循環がどう変動するかを明らかにする。
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