2019 Fiscal Year Annual Research Report
植物の新たな大気浄化能の網羅的解析と有機ガス吸収モデルの開発
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19H04257
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
谷 晃 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (50240958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 善幸 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (40280713)
望月 智貴 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (50781811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルコール類 / 芳香族炭化水素 / 植物吸収 / 気孔コンダクタンス / PTR-TOF-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の2項目の実験を行った。 ア)植物吸収について未測定の物質を用いた吸収特性の網羅的解析(谷、望月) これまで調べられていない物質であるアルコール類や芳香族炭化水素、等について植物の葉による吸収の有無と、吸収される場合の吸収速度を求め、植物による有機物質の吸収データベースに加えた。また、代謝物が放出される可能性があるため、PTR-TOF-MSを用いて代謝物の放出の有無も同時に調べた。PTR-TOF-MSでは質量分解能の高い飛行時間型マスフィルターを用いているため、放出される代謝物の分子式を予測可能であるが、異性体がある場合、同定はできない。そこで、吸着管にガスを採取しガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて代謝物を同定した。代謝物として、曝露物質ごとに複数の物質が葉から放出される場合があり、新たな知見を得た。 イ)数種の主要樹木や観葉植物を用いた、吸収能力の種間差解明(谷) 大気中に比較的高濃度で存在する複数の性状の異なる物質を用いて、数種の主要樹木や観葉植物の吸収能力を調べる。アルデヒド類としてメタクロレイン、ケトン類としてメチルエチルケトン、単環芳香属炭化水素としてトルエンおよびフェノールを用いて、ppbレベルのこれら物質の一種を含む空気を生成し、数日間の長期曝露実験を行い、吸収速度を求め、植物種間差を調べた。用いる樹木には落葉樹のコナラ属樹木(クヌギorコナラ)、常緑樹のシラカシ、公園樹木として広く用いられるヤマモモ、の3種、および観葉植物として広く用いられるスパティフィラムを用いた。物質の吸収能力については、樹種間で差異があった。また、気孔開度の指標となる気孔コンダクタンスとよい相関が得られた一方光強度の強弱による影響はないことが明らかとなり、光合成とは別の機序によって有機物質の吸収が起こっていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画をほぼ達成しているとともに、次年度の研究に関しても着手し、一定の進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り行う。
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Research Products
(5 results)