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2020 Fiscal Year Annual Research Report

機能特異分子で描く新しいメタン生成観

Research Project

Project/Area Number 19H04261
Research InstitutionNational Institute of Advanced Industrial Science and Technology

Principal Investigator

金子 雅紀  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (80633239)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 延 優  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40805644)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsメタン生成アーキア / 補酵素F430 / 遺伝子解析
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は,①海洋堆積物深部のメタン菌の分布を明らかにし,その分布を支配する環境要因を明らかにすること,②補酵素F430の未知機能解明と未知メタン菌の結びつきを証明すること,である。それにより「どこに,どれくらいメタン菌が存在するのか?」という長年明らかにできなかった学術的問いに解を出すものである。
当該年度は、主に以下の研究を行った。
1)補酵素F430のアルキル基還元触媒としての未知機能解明
メタン菌の大量培養ににより、精製した補酵素F430を用い、還元剤および電気化学的手法を用いて活性化を行い。様々な炭素基質と反応させた。その結果、生体内基質であるCH3-S-CoMだけでなく、ジメチルスルフィド、ヨウ化メタン、メトキシ安息香酸からメタン及びエチレンが生成した。また、CH3-S-CoMの代わりに、C2-C4のアルキルS-CoMを基質をして用いた結果、アルキル鎖の炭素長に対応するアルカン、アルケンガスが生じた。この結果は、補酵素F430がCH3-S-CoMだけでなく、多様なチオアルキル化合物、ハロゲン化アルキル化合物、アルコキシ化合物と反応できる未知機能を持つことを示唆する。堆積物中の微生物のメタン菌を含め未培養のものが多く、それらの性状の多くは謎に包まれている。性状未知なメタン菌の中には補酵素F430の未知機能を実際に利用しているアルキル代謝菌が存在している可能性がある。
2)補酵素F430の未知機能を起点とした未知メタン菌の発見
補酵素F430の生合成経路を基に、これまでデータベースに保存されている環境遺伝子から、未知メタン菌を発見することを試みたが、現在の所発見には至っていない。しかしながら、これまでに発見されているメタン菌の遺伝子を補酵素F430の生合成経路などに注目して再解析した結果、メタン菌とアーキアの進化に関する重要な考察が得られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

下北半島および南海トラフ堆積物深部の補酵素F430の分布およびF430の熱的不安定性の速度論研究から世界ではじめてメタン菌の分布と活動を定量的に解析した。その結果はJACS Au誌およびISME Journalより公表した。
また上記のように、補酵素F430の未知機能および進化に関する新知見が得られた。この結果は現在国際誌に投稿中である。
以上のように、本研究の目的である、「①海洋堆積物深部のメタン菌の分布を明らかにし,その分布を支配する環境要因を明らかにすること,②補酵素F430の未知機能解明と未知メタン菌の結びつきを証明すること,である。それにより「どこに,どれくらいメタン菌が存在するのか?」という長年明らかにできなかった学術的問いに解を出すものである。」に対し、着実に結果を出しつつあるため、概ね順調である。

Strategy for Future Research Activity

今後は引き続き、それぞれのテーマに対し下記のように研究を行っていく予定である。
【海洋堆積物深部におけるメタン菌の分布とそれを支配する環境要因の解明】日本海表層型メタンハイドレート賦存域、南海トラフ砂層型メタンハイドレート賦存域など、メタン生成が活発な海洋堆積物中の補酵素F430の分布に微生物学的データや、地球化学的データを加え、メタン菌の分布とそれを支配する環境要因を解明する。
【補酵素F430のアルキル基還元触媒としての未知機能解明】これまでに補酵素F430が多様なアルキル化合物を基質として作用する未知機能を持つことを明らかにしてきたが、その反応メカニズムの詳細を同位体トレーサー法を応用して行う。
【補酵素F430の未知機能を起点とした未知メタン菌の発見】データベース上の遺伝子情報の解析手法を変更し、未知メタン菌とその性状についての発見を引き続き試みる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2022 2021 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 3 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Cultivation and biogeochemical analyses reveal insights into methanogenesis in deep subseafloor sediment at a biogenic gas hydrate site2022

    • Author(s)
      Katayama Taiki、Yoshioka Hideyoshi、Kaneko Masanori、Amo Miki、Fujii Tetsuya、Takahashi Hiroshi A.、Yoshida Satoshi、Sakata Susumu
    • Journal Title

      The ISME Journal

      Volume: 16 Pages: 1464~1472

    • DOI

      10.1038/s41396-021-01175-7

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Insights into the Methanogenic Population and Potential in Subsurface Marine Sediments Based on Coenzyme F430 as a Function-Specific Biomarker2021

    • Author(s)
      Kaneko Masanori、Takano Yoshinori、Kamo Masashi、Morimoto Kazuya、Nunoura Takuro、Ohkouchi Naohiko
    • Journal Title

      JACS Au

      Volume: 1 Pages: 1743~1751

    • DOI

      10.1021/jacsau.1c00307

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Detection of planktonic coenzyme factor 430 in a freshwater lake: small-scale analysis for probing archaeal methanogenesis2021

    • Author(s)
      Urai Atsushi、Matsushita Makoto、Park Ho-Dong、Imachi Hiroyuki、Ogawara Miyuki、Iwata Hiroki、Kaneko Masanori、Ogawa Nanako O.、Ohkouchi Naohiko、Takano Yoshinori
    • Journal Title

      Progress in Earth and Planetary Science

      Volume: 8 Pages: 1-17

    • DOI

      10.1186/s40645-021-00450-7

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 東部南海トラフ海底下堆積物における生物的メタン生成2021

    • Author(s)
      吉岡 秀佳、片山 泰樹、金子 雅紀、坂田 将
    • Organizer
      砂層型メタンハイドレートフォーラム2021
  • [Remarks] 南海トラフの深海底堆積物で生きるメタン生成微生物の特徴を解明

    • URL

      https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20220202/pr20220202.html

URL: 

Published: 2022-12-28  

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