2019 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷部位特異的に集積する転写共役修復因子群を同定・評価する新規技術の開発
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19H04266
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橋本 悟 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任准教授 (60352150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺林 健 大分大学, 医学部, 助教 (40452429)
荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
岡 泰由 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (60762383)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
紫外線によって生じるDNA損傷を修復する機構にヌクレオチド除去修復(NER)が存在する。NERにはゲノム全体を修復する全ゲノム修復(GGR)と、転写伸長中のRNAポリメラーゼII(PolII)がDNA損傷を認識して遺伝子領域だけの修復行う転写共役修復(TCR)とに分けられる。GGRの分子メカニズムは概ね理解されているが、TCRのそれは不明な点が未だ多い。その原因として、生細胞内においてDNA損傷とPolIIが衝突する、ゲノム上における部位特異的な現象を詳細に評価できる実験系が存在しないためである。本研究では、ゲノム上の特定の部位におけるDNA損傷とPolIIの衝突を評価できる実験系の開発を主たる目的とし、併せてNERの異常によって生じる疾患群の病態解明を目指す。 本年度は、既存技術であるクロマチン免疫沈降法(ChIP)とスロットブロットを融合し、PolIIとDNA損傷の相互作用を解析する手法を確立した。この技術を用いて、現在開発中である新規技術を用いてゲノム上における時間・空間的に制御可能なDNA損傷を誘導できるシステムの検証を行う準備が整った。 新規技術開発と並行して、各種NER因子を欠損させたHeLa細胞を用いたChIP解析を行い、紫外線照射後におけるPolIIの挙動を確認した。さらに、NERの異常によって生じるTrichothiodystrophy(TTD)のモデルマウス由来の皮膚ケラチノサイトを用いたRNAseq解析を行い、TTDにおける表皮の異常(魚鱗癬)がコレステロールダイナミクスに関連する遺伝子発現異常と相関する事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存技術の融合によって、研究目的である新規技術の開発に必要な評価系を確立する事が可能になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新規技術を用いた新しい実験系の条件検討を行う。具体的には、特異的DNA損傷の導入条件を、導入後のDNA損傷の細胞内分布および量を経時的に観察することによって行う。また細胞内に導入した特異的DNA損傷を含む複合体の抽出に挑戦する。またGGRとTCRの二重欠損細胞の作成も予備的にすすめる。
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Research Products
(3 results)