2020 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性ホットスポットとしての農場環境(堆肥・畜産排水)の実態把握と制御法の提案
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19H04285
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
臼井 優 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (60639540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 剛志 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (10634222)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / 堆肥 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内の4つの牛農場において堆肥処理またはバイオガスプラント処理前後の廃棄物をサンプリングし、廃棄物に含まれる大腸菌量、テトラサイクリン耐性大腸菌量、アンピシリン耐性大腸菌量、tetA遺伝子およびbla遺伝子量、残留抗菌薬量を定量し、メタゲノム解析を実施した。結果、堆肥処理およびバイオガスプラント処理のいずれにおいても大腸菌量は減少した。減少程度はバイオガスプラント処理で堆肥処理より大きかった。また、耐性遺伝子量については、バイオガスプラント 処理により有意に減少した。残留抗菌薬量は、いずれの処理によっても減少傾向を示した。以上の結果より堆肥処理およびバイオガスプラント処理は、家畜糞便中の耐性菌、耐性遺伝子量、抗菌薬量を減少させ、土壌および作物への汚染リスクを減少させることが示された。また、その程度はバイオガスプラント処理が堆肥処理に比べて大きいことが明らかとなった。メタゲノム解析により、耐性遺伝子の宿主となっている細菌を推測することができた。 加えて、薬剤耐性対策として、より有効な処理法を探すために、実験室内およびシミュレーターを用いた試験を行った。複数の添加剤や副資材を加えて、継時的に細菌量(大腸菌、腸球菌、黄色ブドウ球菌、Clostridioidesなど)、耐性遺伝子量を測定した。結果、いくつかの添加剤は、温度の上昇に関わらず、細菌量および耐性遺伝子量を減少させることができることが明らかとなった。中でも、これまでの処理法では、死滅させることが困難であった、芽胞形成菌も、死滅させることが可能であることが明らかとなった。 さらに市販堆肥中の耐性菌量と耐性遺伝子量を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画通りに進行している。COVID-19の広がりにより、共同研究先のアメリカにおいて、耐性遺伝子の網羅的定量を実施する予定であったが、渡航することができず、網羅的ではなく耐性遺伝子の定量は、対象を絞った試験となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室内およびシミュレーターにより、効果が確認できた堆肥への添加剤について、野外農場での試験を実施し、その効果について、これまでと同様に耐性菌量、耐性遺伝子量、残留抗菌薬量について、検証し、耐性菌対策としての有効性を示すことを計画している。 また、これまでのサンプルについて、可能であれば耐性遺伝子の網羅的定量をfluidic qPCRにより実施することを計画している。
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Research Products
(2 results)