2020 Fiscal Year Annual Research Report
臭素化ダイオキシンを蓄積する海産無脊椎動物を対象とした毒性リスク評価
Project/Area Number |
19H04286
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
平野 将司 東海大学, 農学部, 准教授 (20554471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 弘志 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (90403857)
内田 雅也 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (80575267)
小林 淳 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (00414368)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 臭素化ダイオキシン / 海産無脊椎動物 / 甲殻類 / 脱皮関連遺伝子 / 化学分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海産無脊椎動物を対象として、沿岸環境におけるPBDDs、特に低臭素化ダイオキシン類の毒性リスクを評価することを目的としている。 本年度は海産アミ類の成熟雌雄個体から取得した遺伝子配列を用いてアノテーションの整備を進めた。甲殻類アミを用いた生物影響試験では、PBDDsの影響を評価する新たな試験法を構築するため、脱皮直後から経時的に個体を採取し、脱皮ホルモン受容体の遺伝子群(脱皮ホルモン受容体EcRおよび二量体パートナーUSP)やcuticle ptoteinファミリー遺伝子群(CPRs)の発現変化を定量した。脱皮周期にともなう脱皮関連遺伝子群の発現変化を調べたところ、CPRsは脱皮前に急激な発現増加と減少を示すクリアな発現変動の知見を得た。今後、これらの遺伝子群を指標としてPBDDsの脱皮、成長・成熟への影響評価を進める予定である。 化学分析では、3臭素化体および4臭素化体の添加回収率試験を実施し、79~102%の良好な回収率を得た。そこで、大牟田川河口および東京湾の海産生物(ハゼ、スズキ、ボラなどの魚類およびシャコなど)を試料として、1,3,7/1,3,8-TriBDD、2,3,7-TriBDD、1,2,3,7/1,2,3,8-TetraBDDの分析を行った。供試した試料中から対象としたPBDDsは検出されず、今後採取予定の二枚貝や小型の甲殻類における定量結果と比較する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に実施予定であった二枚貝・小型甲殻類のサンプリングが難航したことから次年度に繰り越したため、やや遅れていると評価した。一方で、成熟雌雄個体から取得したHiseqによる塩基配列ついてアノテーションの整備を進めることができた。また、甲殻類の重要な生理現象である脱皮に着目し、脱皮周期にともなう脱皮関連遺伝子群の発現変動を詳細に調べることができた。CPRを指標とした脱皮影響の試験法を試みるなど予想以上の結果を得ることができた。尚、2020年度に発生した繰越事由となった試料採集について、2021年度に有明海の沿岸域における二枚貝および小型甲殻類のサンプリング行った。イガイ、カキ、アキアミ類等を採集し、化学分析に供することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二枚貝にPBDDsを曝露することで生態影響を調査するとともに、海産アミ類の成長・成熟試験を実施し、海産無脊椎動物への影響濃度を明らかにする。また、海産アミ類のアノテーションの整備を進めることができたため、ゲノム解析に加え、得られた個体についてトランスクリプトーム解析を行う。2021年度に繰り越した有明海の沿岸域における二枚貝および小型甲殻類のサンプリングを進め、イガイ類やカキ類を採集することができた。低臭素化体を中心にPBDDsの化学分析を行い、海産無脊椎動物の汚染実態について情報を得る。
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Research Products
(4 results)