2019 Fiscal Year Annual Research Report
Multidimensional Instantaneous and noninvasive monitoring of environmental stress and activities of plant using highly sensitive interferometric techniques
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19H04289
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
門野 博史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70204518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIM YIHENG 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10789457)
山口 雅利 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20373376)
ラジャゴパラン ウママヘスワリ 芝浦工業大学, SIT総合研究所, 教授 (40270706)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光断層画像法 / 統計干渉法 / レーザースペックル / バイオスペックル / 重金属 / 環境汚染物質 / 酸性鉱山排水 / 光干渉法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,無侵襲・超高感度な光干渉法である統計干渉法(SIT)およびバイオスペックル光断層画像法(bOCT)に基づいて,植物の環境に対する極短時間の生理的・形態的応答を多元的に知ることにより,新しい植物の環境ストレスモニタリング技術を確立することである.本研究ではSITを用いて得られる新規な現象である植物成長の「自発的ナノメータゆらぎ」(NIF)の特性を利用する.加えて,新たに提案するbOCTを用いた植物内部の3次元的生理応答情報を統合して利用する.これらを総合して多角的に植物活性を無侵襲,迅速かつ高感度に評価することにより植物を用いた環境の毒性評価の確立を試みるものである。 本年度はbOCTおよびSIT統合システムの基礎設計および構築を試みた。新システム設計のための基礎データを取得するための基礎実験を中心におこなった。特にbOCTについては新に提案したバイオスペックルデータの植物活性状態をモニタするための有効性について検討した。環境汚染物質として重金属である亜鉛(Zn)と酸性鉱山排水(AMD)をlentilおよびradishの種子に対して暴露実験をおこなった。 Znの濃度は0.75から10mg/Lである。この濃度では微量栄養物質として植物に対して成長促進作用が知られている。これに対してbOCTにより得られる活性指標としてのバイオスペックルコントラストは10mg/L(Zn)に対して発芽以前の早期である僅か6時間後に2.5倍の増加を示した。 一方、人工AMD(FeSO4)(濃度150μmol/L, 298μmol)に対する暴露においても発芽前の早期において内部活性の増加が観測された。これは主としてAMD溶液の低pHによる効果と思われる。 このようにbOCTによる内部活性のモニタの有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はbOCTおよびSIT統合システムの基礎設計および構築を試みた。新システム設計のためのSITに対する基礎データを取得するためにプロトタイプを用いて実験を計画していたが、装置に不具合が生じた。さらに、計測結果を評価するために従来法である光合成速度計による測定結果と比較検討をおこなうこととしたが、装置に不具合が生じた。これらの装置の修理においてCOVID-19の影響により想定以上の期間を要したため研究計画の遅延を生じた。 また、SITのシステムは基本的に物体上一点の計測をおこなってきた。しかしながら種子の計測においては極狭い範囲に幼根、幼芽、胚乳等局所的に活動が大きく異なる部位が存在する。これに対して、bOCTは植物内部の三次元計測が可能であり、この利点を最大限に利用するには統合システムにおいてもSITの計測を多次元化するべきであるとの結論に至った。そのため、従来のSITシステムと平行して2次元化SITシステムの検討を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
bOCTおよびSITを統合したシステムを用いてそれぞれの同時計測信号・情報の相関解析をおこなうことにより、より高感度に植物の環境ストレス評価をおこなうことができる解析法を開発する。環境ストレス・汚染物質として、引き続きAMDや重金属に加えて、近年注目されているナノ粒子、マイロプラスティックの暴露実験をおこないその影響のモニタをおこなう。ナノ粒子としてアルミナ粒子、ポリスチレン粒子を用いた予備実験を既におこなっており有効な反応の計測結果を得ている。 開発システムの植物の環境ストレスモニタ法としての有効性を評価するために、従来の生化学的ストレス評価法と比較する。従来法として光合成速度計およびクロロフィル蛍光法による光合成の計測をおこなう。さらに,ストレス下で生成される有害な活性酸素に対する一連の分解酵素(SOD, POD,CAT)活性に加えて酸化力の強い過酸化水素が重金属ストレスの指標となっていおり、これらの分析も平行しておこなう。 従来の一点計測のSITシステムと平行して2次元化SITシステムを設計し統合システムに実装する。SITシステムの計測精度はサブナノメータに達するためbOCTシステムのようにガルバノミラーを用いた機械的なスキャンをおこなうことは困難である。このために、新に空間光変調器(SLM)を導入したシステムを考案した。今後、SLMを用いた二次元SITシステムの詳細な設計をおこない、安定性や精度を検証した後bOCTと統合ししたシステムに実装する。本システムは微小領域に異なる組織の発達が集中する発芽前後の種子に適用しその有効性を検証する。 植物成長の自発的ナノメータゆらぎに関してその起源が不明であるがbOCT観測からのデータを加えることによりその解明を試みる。
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Research Products
(5 results)