2020 Fiscal Year Annual Research Report
ファージと生理活性物質による標的糸状性細菌の特異的制御と活性汚泥の固液分離向上化
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19H04299
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
新田見 匡 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20377089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗栖 太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30312979)
飛野 智宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (90624916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 用排水システム / 生物環境プロセス / 糸状性細菌 / バクテリオファージ / 生物活性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファージと生理活性物質により糸状性細菌の増殖を特異的に制御する方法を提案すること、および同方法により都市下水処理施設における固液分離障害の解決を図ることが本研究の目的である。本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1)採取した活性汚泥試料の微生物群集の分析 昨年度の研究において、都市下水処理施設の5つの処理系列より、約1年間、2-3週ごとに活性汚泥試料を採取した。そのうち固液分離障害が顕著であった1系列の10試料について、微生物群集をアンプリコンシークエンシングで分析し、優占する細菌を時系列で調べた。昨年度のアンプリコンシークエンシングのデータと統合して解析を行ったところ、同系列における活性汚泥の固液分離障害は、既知の糸状性細菌のほか、複数の系統の細菌が優占して誘引していたことを示唆するデータを得た。 2)固液分離障害と関係する糸状性細菌の特定 1)のアンプリコンシークエンシングのデータをもとに、固液分離障害と関係する新たな糸状性細菌の特定を進めた。1)の都市下水処理施設の活性汚泥より抽出したDNA試料を用い、16S rRNA gene (約1500 bp)のクローン解析を行った。得られたクローンの塩基配列情報をもとにオリゴヌクレオチドプローブをデザインし、同プローブを使った活性汚泥試料の蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、解析対象とした処理系列において優占していた糸状性細菌の一部は、サプロスピラ科の細菌に近縁な配列を有する細菌であることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画した研究のうち、生理活性物質を使った糸状性細菌の培養実験を実施することができなかった。そのため「やや遅れている」と評価した。しかし一方で、研究計画段階では把握できていなかった固液分離障害に関与する糸状性細菌群の一部を特定することができた。これは今後の研究の展開に寄与する成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
・各種糸状性細菌を溶菌する作用を持ったファージを探索する。溶菌性を示す有用なファージが得られた場合は、その分離精製と解析を進める。 ・生理活性物質を使った糸状性細菌の培養試験を実施する。 ・固液分離障害と関係する新たな糸状性細菌の特定を進める。
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Research Products
(3 results)