2020 Fiscal Year Annual Research Report
先端医療検査の発展に潜むMRIガドリニウム造影剤に起因した環境負荷低減技術の開発
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19H04304
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井上 一雅 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (20508105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福士 政広 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員教授 (70199199)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガドリニウム / MRI造影剤 / 希土類元素 / 環境負荷低減技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京都23区内に点在する13カ所の水再生センター処理水(流入水、第一沈澱池流出水、河川放流水)に含まれるガドリニウム濃度の調査を実施した。分析では、処理水をメンブレンフィルターおよび固相充填カラムを用いて試料前処理を行い、質量分析計を用いてガドリニウム濃度を計測した。固相充填カラムを用いた前処理方法については、希土類元素標準水を用いて条件検討を事前に実施し、回収率が90%以上となる条件とした。調査の結果、38.6ー804.1 pptの高濃度なガドリニウムを計測した。また、流入水および放流水中のガドリニウム濃度を比較したところ、下水処理の過程において軽希土類元素が除去される関係で、ガドリニウムは最大で1.8倍の濃縮を確認した。さらに、希土類元素の存在パターンにおいて、サマリウム(Sm)とテルビウム(Tb)の値から、人為的に増加したガドリニウム(GdSN)と天然のガドリニウム(GdSN*)の相対存在度(GdSN/GdSN*)を算出した結果、GdSN/GdSN*は5.9ー1327.7であった。一般的に、GdSN/GdSN*>1.4であれば、人為的影響があると判断されるが、計測した全ての結果においてGdSN/GdSN* = 1.4を越える結果となった。これにより、現在の下水処理ではガドリニウムは効率よく除去されず、環境中に放流されていることを確認した。なお、新型コロナウイルスの影響により当該年度内に実施できなかった検討項目については翌年度に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、一部の環境試料を入手することが困難であったことから一部の研究項目を2021年度に実施することを計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
都内23区に設置されている水再生センターにおける調査を完了した。新型コロナウイルス感染拡大の状況に依存するが、継続して多摩地区における調査を継続させる。また、各水再生センター計画区域内に設置されているMRI装置台数や人口などの統計データを調査し、これらとの相間関係を調査する予定である。
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