2019 Fiscal Year Annual Research Report
Separation and recovery of rare metals from Li ion battery by utilizing boiling point difference of organic-metal complex
Project/Area Number |
19H04307
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 貴博 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30312606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レアメタル |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウム電池(LIB)の原料となるCo, Ni, Liを安定的に確保するためには、使用済LIBから金属を分離回収する技術の確立が不可欠である。アセチルアセトンと金属酸化物の反応により、金属錯体が生成するが、本提案では、各種金属錯体のガス化温度差を利用した分離を行うことにより、使用済LIB中の混合金属酸化物からCo, Ni, Li, Mnを分離回収するプロセスの開発を行っている。本プロセスは、300℃以下の温度でレアメタルの分離が可能であり、室温付近で行う湿式法の回収に比べて反応速度が速い。有機溶剤を循環利用するため環境負荷が小さく、単一の有機溶剤を使用し、プロセスがシンプルである。Co, Ni, Mn, Li酸化物とアセチルアセトンの反応による有機金属生成速度の測定を測定した。アセチルアセトンとレアメタルを含む試料と反応させ、ガスの有機錯体を生成させた。レアメタルを含む液化有機溶媒を回収した。試薬酸化物(Co2O3 など)を用いて、各実験条件下で個別の酸化物からの抽出速度を測定した。LIB を構成する酸化物を混合した試料からの抽出を行い、混合酸化物からのそれぞれの有機金属の抽出過程を検討した。また、金属錯体が融点を有さず、加熱により固体から気体に直接変化する昇華を起こすことが明らかになった。各有機金属の昇華温度を測定した。本プロセスでは種々の酸化物からなる混合物においてもそれぞれに対応する異なる有機溶媒を用いる必要はなく、単一のガス化有機溶媒を用いて、これらの金属を含む有機金属混合ガスを生成させ、LIBに含まれるすべての金属を同時に回収する。本方法は全く新しい原理による元素分離法であり、ダウンリサイクルではなく、水平リサイクルやアップサイクルが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機金属が融点を有さないことが分かり、新たに測定を行った。測定を進めておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
生成した有機金属溶液はCo やLi を含む有機金属からなる混合溶液であるため、混合溶液に含まれる各有機金属溶液の分析やそれぞれの分量を効率的に測定する手法を確立する必要がある。各有機金属溶液の吸光スペクトルはそれぞれ少しずつ異なっているため、吸光光度測定を利用して、抽出回収した各有機金属溶液の同定・定量を行う。また、ICP発光分光分析による定量も試みる。
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