2020 Fiscal Year Annual Research Report
Perception toward the Rise of China in Comparative Perspectives: Focusing on the Post-Cold War Generation in Asia-Pacific Region
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19H04347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
園田 茂人 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (10206683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国台頭 / 社会心理 / 比較 / 変容 / ポスト冷戦世代 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、アジア域内のポスト冷戦世代に見られる対中認識を中心に、それぞれの国・地域に見られる対外認識の特徴、及びその変化の様相について、『アジアの国民感情』(中央公論)という本を刊行した。本の刊行後には、インタビュー記事がウェブサイト上で公開され、多くのビューアーが目にすることになったが(https://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/116637.html)、同書は、第16回樫山純三賞一般書賞・最終選考対象作品となり、韓国語への翻訳オファーを受けるなど、反響が大きかった。 また、オーストラリアと日本における中国系移民二世を対象にしたインタビュー結果の論文を執筆し、それぞれ中国語と英語のジャーナルに投稿する準備を行った。前者については単著で、後者についてはシドニー大学のChen Minglu博士との共著という形で作業を進めている。 またプリンストン大学現代中国センターの研究グループと共同研究を始め、2021年度の本の刊行に向けた活動に着手した。同研究グループが独自に行った対中イメージ調査があり、我々のデータを突き合わせることで、より広くそれぞれの知見を共有できるようにしたいと考えている。 韓国やフィリピン、台湾の若手を中心にした研究チームと連絡を取り合いながら、最終的な成果報告に向けての活動をオンラインで行った。韓国チームの進捗は比較的早く、チームメンバーの論文を集め、韓国国内の英文学会誌で特集を組むことが決まっている。他国のチームとも連絡を取り合いながら、2021年度には総括ワークショップを実施し、最終成果を纏められるように準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに単行本を一冊書き上げており、これが研究者を超えて広く関心を持たれるようになったから。また、日本の文化外交を担う国際交流基金からは、この本の知見をもとに将来計画を策定するにあたってのアドバイスを求められたり、経団連アジア・大洋州地域委員会ASEAN勉強会から、会員向けの講演を依頼されたのも、本書刊行の社会的インパクトが大きかった原因である。これも必要とされるデータを事前に獲得することに成功し、コロナ禍によって妨げられなかったところが大きい。コロナ禍によって海外での対面による成果報告はできなかったものの、国内での成果発信は順調に行われていることからも、進捗は順調と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
国際比較のためのデータは整っていることから、できるだけ広くデータを利用し、関連する国際ジャーナルに投稿したい。すでにJournal of Contemporary East Asian Studiesへの寄稿は具体的に準備されているが、それ以外にも中央アジアやフィリピンなどでの学会誌に寄稿したいと考えている。また中国系移民二世を対象にした論文は、中国語と英語のジャーナルに投稿し、採択を勝ち得たいと考えている。韓国、フィリピン、台湾の若手研究者との共同研究、及びプリンストン大学現代中国研究センターとの共同研究も形あるものにしたい。
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