2020 Fiscal Year Annual Research Report
Land ownership and peatland restoration in Indonesia
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19H04350
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 広祐 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (30283659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アミアミナ ムティア 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (10623845)
亀田 尭宙 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (10751993)
大澤 隆将 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (40795499)
長谷川 拓也 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (50760534)
岡本 正明 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (90372549)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 泥炭社会 / 泥炭社会史 / 泥炭農村 / 土地所有 / インドネシア経済 / アブラヤシ生産輸出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、泥炭社会の諸問題を、インドネシアの歴史経済社会および農村社会の観点から再検討すべく論考を進め、研究会の内外委員によるインドネシア各地における農村調査や土地権調査を実施した。各地の調査村の泥炭地はほとんどが政府指定の森林地域(kawasan hutan)にある。1999年林業法によると、政府指定の森林地域を利用する者は政府から許可が必要であるが、企業以外そのような許可を得ている者はいない。このような状況を改善すべく2017年大統領規則により、政府指定の森林地域内の住民に対し、(政府指定の森林地域の境界を変更することにより住民を政府指定の森林地域外におき)土地所有権を付与する、社会林業を実施することにより住民に使用権を与える、などの方策を決めている、泥炭地域では、境界変更による土地権付与はほとんど見られないため、解決の方策として社会林業が考えられる。そこで私たちは住民に対し、その可能性を聞いた。リアウ州の調査地住民は、ある人は親やその前の代から調査地地域に土地を持っている、他方近年に移民してきた人も多い。そのほとんどが、土地は政府指定の森林地域であるとの認識はない。ただし、広大な土地に産業造林権が設定されており、その土地は政府指定の森林地域であることは明らかである。村長に聞いても、政府指定の森林地域の境界はわからないとの回答であった。社会林業の可能性について、実施となれば様々な費用が発生する、いったい誰がその費用を負担するのか、ということで住民の間に社会林業実施のインセンティブはない、このような、政府指定の森林地域の境界さえ不明確であるとする現状はジャワ島における状況と大きく異なる(たとえば筆者がかつて調査した西ジャワチアンジュールでは境界は明確であった)このような大きな差が出る要因について歴史的な考察も進めた、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究会内外委員による各地の農村調査や土地調査が進んだ。また泥炭社会についてインドネシア歴史経済社会から論じる議論を進めることができた、すなわち、インドネシア経済論やインドネシア企業から見た泥炭問題や、インドネシア農村社会論、さらにインドネシア土地制度論から見たで泥炭問題については特に調査や議論が進んだ。また、歴史的難考察も進み、特に国有地と住民の慣習法に関する、植民地期のレイデン学派とユトレヒト学派の論争をフォローした。すなわち、1854年憲法などで規定する、総督が住民の土地権を尊重しなければならないと規定する「村落に属する土地」の範囲として、レイデン派は、居住地、耕作地、森林、放牧地などの村落を大きく取り巻く土地であるとするのに対し、ユトレヒト派は、居住地、恒常的に用いられて農地や屋敷地はそれに含まれるものの、非定期的に用いられる移動耕作地などの土地は含まれず、それらは「村落に属する土地」には含まれない国有地に該当し、政府は必要に応じそられの土地に長期事業用益権(Erfpachit)を設定して企業にコンセッションを与えることができるとした。実際の行政はユトレヒト派の解釈にちかく、これらの土地の住民による利用を違法として住民が持つ慣習的土地権を削いできたということができる。このような行政をジャワ島で実施してきたため、かつての国有林、今日の国家管理林、あるいは政府指定に森林地域は境界が明確になった。一方、泥炭地ではほどんどどこでも政府指定の森林地域の境界が不明であり、かつ住民は慣習的に土地を利用してきた、ないし移民が入ってきた。このような発見(仮説)は大変重要であり、今後の各地の農村調査ないし土地権調査によって事実を明らかにしてゆく。これらの議論を踏まえ、農村調査を実施また論文執筆を開始した。今後これらの論文執筆を進め本科研プロジェクトによる出版への道筋をつけてゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらにインドネシア各地の泥炭社会とそれら地域における土地問題の展開を研究してゆく。また、ジャワ島などの非泥炭地域の農村経済の発展や歴史的展開との比較も行ってゆく
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Research Products
(22 results)
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[Presentation] Islam Nusantara Study and beyond,2020
Author(s)
Okamoto Masaaki
Organizer
, The International Class on Asian Community 2020, 基調講演, Universitas Bangka-Belitung (Indonesia),パンカルピナン(インドネシア)(オンライン), 2020年7月9日Universitas Bangka-Belitung
Int'l Joint Research / Invited
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