2019 Fiscal Year Annual Research Report
International Collaboratoive Study on the Photographic Archives of the Greater Japan Muslim League
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19H04369
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
三沢 伸生 東洋大学, 社会学部, 教授 (80328640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 榮治 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (00272493)
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20197502)
臼杵 陽 日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
岡井 宏文 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 講師 (10704843)
長谷部 圭彦 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (60755924)
加藤 博 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (10134636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イスラーム / 回教 / アジア主義 / アーカイブ / データべース / 写真 / 画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究実績につき、本プロジェクトの主目的である大日本回教協会旧蔵写真資料のデータベースの早稲田大学図書館ホームページ移管作業が遅れたために岡井・長谷部を中心に行うデータベースの設計が当初予定よりも遅れざるを得なかったが、主体である写真資料の調査・研究は総員にて予定通りに実施し、実績をあげることができた。 構成員総員の分担に基づき、写真の基本情報(撮影時期/撮影場所/撮影の経緯/人物・建造物の名称など)につき、国内外において探索・調査を行った。6月に海外研究協力者であるトルコ人研究者が来日し、構成員と協議を行い、それに基づき、10-11月に三沢・加藤・臼杵がトルコにおいて共同調査を行った。また加藤・長澤はエジプトにおいて、店田はマレーシアにおいて探索・調査を行った。あわせて海外研究協力者である、スイス人研究者、アメリカ人研究者、ロシア人研究者たちともネットを介して、適宜、個別情報に関して共同で検証・協議を行った。この結果として基本情報の割り出し、割り出しまでいかなくとも大まか想定を行うことができた。国内ついては、上記の作業と並行して、補完資料の探索・発見に関して、戦前期のアジア主義に基づく回教政策の中心人物であった大川周明関係の諸資料(写真・書簡など)の発見に大きな成果をあげた。具体的には、研究分担者の臼杵・加藤の仲介で三沢・長澤・長谷部を加えた5名で11月に山形県酒田市の大川周明記念祭に参画して大川周明顕彰会所蔵の大日本回教協会の関係者も含む資料を調査した。また戦前の回教圏研究所の写真も数点発見することができたことも成果である。 2-3月に予定して国際共同調査はCOVID-19禍のために次年度以降に延期せざをえなかったものの、初年度において本件にかかわる国内外の研究協力者たちの協働環境を整備して、研究目的に即したプロジェクト推進の基盤を形成することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本プロジェクトは早稲田大学イスラーム地域研究機構によって構築された大日本回教協会旧蔵写真資料のデータベースを、2018年度末で同研究機構が終了を受け、その成果をさらに昇華させ、当該画像資料の徹底的な実態分析して、アーカイブを構築するために開始された。2019年度幸いにしてデータベース本体が早稲田大学図書館ホームページに移築されることなったが、その移行が遅延して2019年9月になり、そのため本プロジェクトもデータベースの設計に関して遅れざるを得なかった。 そのため設計に先んじて写真資料の調査・補完資料の探索は国内外において実施し、成果をあげることができ、新出・新発見資料をスキャン・電子化する作業を進めた。しかし2-3月に来日予定であった海外研究協力者であるトルコ人研究者、スイス人研究者がCOVID-19の影響で来日を取りやめざるを得ず、直接の共同研究ではなくインターネットを介した間接的なものにならざるをえなかったことが国際共同研究を企画した本プロジェクトとしては不本意なものになった。 上記の2点を勘案して、自己評価して、初年度2019年度につき、「(3)やや遅れている」と自己評価するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として初年度の遅れを取り戻すべく、第1にアーカイブとしてのデータベースの構成構築と、第2に初年度と同じく国内外において国際共同研究を進めて、写真の基本情報(撮影時期/撮影場所/撮影の経緯/人物・建造物の名称など)につき、さらなる国内外において旅費を用いての出張や招聘を通して探索・調査を進めていくほか、国際共同研究として海外研究協力者を交えて、ネット上における共同研究プラットホームの構築に着手して推進していきたい。 より具体的には前者に関しては岡井・長谷部を中心に既存の同様なアーカイブを参照しながら基本構成を構築し、あわせて早稲田大学中央図書館および大日本回教協会の後継学術学会である日本イスラーム協会と協議を進めていく。第2については、初年度に遅れた満洲・新彊を中心とした中国関係の調査を長澤を中心に進めていく。東南アジア・中東に関しては前年度にあげた成果にさらに上積みを目指す。 また補完資料として、国内では早稲田大学中央図書館に所蔵される大日本回教協会旧蔵文書・書籍(非公刊謄写版を含む)の調査を行う。さらに初年度成果で発見された極めて重要な大川周明顕彰会所蔵資料については、同会と協働で電子化をしながら、並行してその分析・研究を行いたい。 しかしながら4月中旬現在もCOVID-19禍の終息予測がつかない。すでに初年度末にも影響を受けたが、国内外の出張・招聘の予定が遅延する可能性がある。また早稲田大学中央図書館をはじめ大学や研究機関の図書館につき再開時期・利用条件につき現時点では不明であり、探索・調査に影響が出てくることが想定される。可能な限り上記の推進方策に基づき、2年目のプロジェクトを推進していく予定であるが、COVID-19禍の状況および日本や関係国の対応策を順守しながら、一部変更をしてでも実現可能な範囲内で最大限の努力をして本プロジェクトを推進していく。
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