2021 Fiscal Year Annual Research Report
International Collaboratoive Study on the Photographic Archives of the Greater Japan Muslim League
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19H04369
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
三沢 伸生 東洋大学, 社会学部, 教授 (80328640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 榮治 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (00272493)
加藤 博 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (10134636)
岡井 宏文 京都産業大学, 現代社会学部, 准教授 (10704843)
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学学術院, 名誉教授 (20197502)
臼杵 陽 日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
長谷部 圭彦 東京大学, 東洋文化研究所, 特任研究員 (60755924)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イスラーム / 回教 / アジア主義 / イスラーム主義 / タタール / アーカイブ / データベース / 史資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の採択後に世界規模に蔓延したコロナ禍によって、当初の計画を実施するのが困難であり、当初より日本側の研究分担者・研究協力者および複数の海外研究協力者と大日本回教協会の写真資料にかかわる諸史資料の探索・分析をもとにオンライン形式で複数回の研究会を開催して、大日本回教協会の写真資料で不明であった被写体人物、撮影場所、撮影時期の特定作業を進め、データベース構築に不可欠な基本情報につき、前年度に引き続き拡充・進展を達成できた。世界的なコロナ禍の鎮静化が進み、日本からの短期海外調査の実施、日本への外国人研究者の招聘もようやく始動し始めので、11月に三沢と加藤がマルタ大学の国際ワークショップに赴き、口頭発表を行うとともに、同大学のIslands & Small States Institute所属研究者たちと、マルタの国立図書館所蔵の新聞・定期刊行物を調査した。そして12月に、複数の海外研究協力者を日本に招聘してハイブリッド形式で2日間の国際シンポジウムThe Formation of the Relationship between Modern Japan and the Islamic Worldを開催し、これまでの国際共同研究の成果を国内外に広く発信した。また招聘した海外研究協力者たちとは、日本側の史資料現物のさらなる分析、さらには東京ジャーミー周辺で写真士撮影地の同定、多磨墓地内のイスラーム教徒墓地の墓碑銘解読、実地調査などを共同で行った。こうした実対面での共同調査・研究によりオンライン形式の限界を打破できたことが本年度の大きな成果である。国際シンポジウムにおける12名の英語発表は、シンポジウムでの質疑応答・協議に基づき、改稿・拡充して専門業者の英文校閲を経て、研究代表者の三沢が所長を務める東洋大学アジア文化研究所の研究叢書シリーズから出版する準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本に限らず世界的にコロナ禍の沈静化が進み、本課題の繰越しが承認されたことによって、国際共同研究推進につき前年度に危惧された状況には陥らず、全体的におおむね順調に進展している。本課題実施時から、海外の研究協力者たちとのあいだで不定期に複数回のオンライン研究会を実施することは軌道に乗って、海外渡航が概ね可能になった本年度もオンライン研究会によって、旧蔵写真資料の欠損情報につき、トルコ、アメリカなどの研究者から日本側で判別できなかった部分を特定することができた。その集大成として海外の研究協力者の日程調整を進めて、12月に複数名を日本に招聘して、12名の発表・3名のコメンテーターを排してのハイブリット形式で2日間にわたる大規模な国際シンポジウムを開催することができた。残念ながら何名かは折り合いつかなかったり、家族の急病でキャンセルもあったものの、対面方式を基軸とするシンポジウムを開催実現は前年度とことなる順調な進捗であると自己評価する。合わせて本年度は新規にマルタ大学の研究所からの接触があり、研究代表者の三沢が11月にマルタ大学でのワークショップで口頭発表を行って今後の共同研究の推進の合意に至ったことも成果である。国内において補完資料たる大川周明を中印とした大日本回教協会とも関係を有したアジア主義者関係の史資料については大きな進展が見られなかったものの、国立国会図書館デジタルアーカイブの劇的進化によって同時代の書籍・逐次刊行物から多くの補完的情報を得られたことは大きく、それを手掛かりに関係する同時代出版物(古書・古雑誌など)の収集により、大日本回教協会旧蔵写真資料にかんする多種多様な情報の分析が進んだ。国際シンポジウムの成果は招聘した海外研究協力者の指摘・分析結果、さらに彼らが滞日中に我々と日本側書史資料の共同分析した結果も盛り込みつつ、英文刊行物としての出版準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は以下の2つを予定している。 第1に、世界的なコロナ禍の鎮静化に伴い、本課題が当初より計画していた複数名の海外研究協力者を日本に招聘して、ハイブリッド形式での国際シンポジウムを開催し、同時に日本側の史資料現物のさらなる分析、さらには東京ジャーミー周辺で写真士撮影地の同定、多磨墓地内のイスラーム教徒墓地の墓碑銘解読、実地調査などを共同で行ったことを踏まえて、その成果を研究代表者の三沢が所長を務める東洋大学アジア文化研究所の研究叢書シリーズ(ACRI Research Paper Series)として刊行、国内外の関係研究機関・研究者への送付、PDF形式でもって研究所ホームページにおいて公開・発信することである。これにより国内外お研究者への関心を喚起して、現行の早稲田大学図書館が公開する大日本回教協会旧蔵写真資料データベースの欠損情報の探索・取得、さらに埋もれていた関連する補完史資料の発掘を目指す。 第2に、本課題の最終目標である早稲田大学中央図書館に所蔵される大日本回教協会旧蔵写真資料に関して欠損する諸情報(被写体、撮影地・撮影時期など)を補うデータベースを構築し、デジタル・アーカイブとして国内外に発信の実現にむけて推進していくことである。具体的には前年度から研究分担者の岡井・長谷部の両名を基軸にデータベースとしての必要情報項目の整理検討がおわり、前年度から本年度にかけて研究分担者および国内外の研究協力者たちの分析作業で判明した項目を業務委託でエクセルベースでの構築作業中であり、その継続と完成を推進していく。そのうえで本課題で構築するデータベースをデジタル・アーカイブとして公開・発信していくための早稲田大学中央図書館や大日本回教協会の後継組織である日本イスラム協会など関係機関との協議・調整と諸手続きを推進していくこと重要方策としている
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Remarks |
(1)は研究代表者の三沢が所長を務める東洋大学アジア文化研究所におけるグローバル地中海研究プロジェクトのHP。本課題と共同開催したシンポジウム、印刷物の詳細につき閲覧可能
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