2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Peculiar Rules of Law in Thailand and Myanmar in Comparative Historical Perspectives
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19H04376
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
T Winichakul 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 専門員 (50813325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 紀之 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター動向分析研究グループ, 研究員 (70717925)
今泉 慎也 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター グローバル研究グループ, 研究グループ長 (80450485)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タイ / ミャンマー / 法の支配 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歴史学および法学の観点から、タイおよびミャンマーの「法の支配」の固有性を明らかにすることを目的とする。研究代表者、研究分担者2人に加えて、タイ、ミャンマーをフィールドとする海外の研究協力者4人を加えた研究チームを組織した。2019年に最初のワークショップを日本において開催したほか、タイおよびミャンマーにおける現地調査を実施した。 タイ、ミャンマーにおいては、民主化の進展に伴う制度改革がその一つの背景として、近年の政治過程において司法判断が強い影響を与えることが顕著となっている。その一方で、両国における「法の支配」のあり方は、両国の近代化・植民地期に移植された西洋近代法とは異なる側面があることが示されてきた。 2006年9月クーデタで追放されたタックシン元首相と支持する勢力とそれに対抗する勢力との激しい対立によってタイの民主化は大きく後退した。その後、2014年5月クーデタによって政権についたプラユット首相が2017年憲法の経過規定の下で行われた2019年総選挙によって続投を決めたが、その後もコロナ禍の外出禁止措置の間隙を縫うように、同政権に対する抗議活動が根強く続く。特に2019年選挙で若者層の支持を集めた新興政党の新未来党が、選挙資金規制違反を理由に憲法裁判所によって解党を命じられた。この事件は政府に対する抗議活動をさらに強めるものとなり、新興の反政府活動を行う若者のグループのなかには、政治活動に対する刑法典上の不敬罪の適用への批判を強く要求する動きが見られる。他方、ミャンマーにおいては、2019年のクーデタによってそれまで順調に進んでいた民主化の流れが頓挫し、軍と民主化勢力との間に激しい対立が続いている。軍の影響の下で行われる司法手続によって民主派の訴追などの動きが顕在化し、ミャンマーにおける「法の支配」のあり方が問われている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症の拡大により2020年以降ほぼ2年間、海外への渡航が不可能になった。また、ミャンマーでは2021年2月クーデタが発生し、軍と民主化勢力との間で深刻な対立が続いており、ミャンマーへの入国・現地調査が不可能となっている。また、現地協力者もコロナ禍のロックダウン等の措置のため、インタビュー等の活動を実施ができない期間が長かった。そのため文献調査のほか、現地の研究協力者を通じた限定的な情報・データ収集を行うことしかできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
感染状況の改善の傾向が見られることから、感染対策を十分に行った上で、タイにおける現地調査を再開し、関係者への聞き取りや文献・データの収集を行う。ミャンマーについては政治状況から現地調査の再開はすぐには難しいが、現地の研究協力者の協力を通じた文献・データの収集を継続する。タイまたは日本での研究チームの面談やオンライン会議を通じて最終成果の取りまとめを行う。
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Research Products
(7 results)