2021 Fiscal Year Annual Research Report
Realisation of 4D Semiconductor Tracker with Fine Spatial and Time Resolutions
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19H04393
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原 和彦 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20218613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (00554479)
海野 義信 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (40151956)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | AC-LGAD / 4次元飛跡検出器 / シリコン検出器 / アバランシェ増幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
位置分解能にすぐれたシリコン半導体検出器に、アバランシェ増幅機能を加えることで時間分解能にも優れたAC-LGAD検出器を開発している。これにより将来の高輝度加速器実験で予想される高い粒子密度の状況下でも飛跡検出を可能とする4次元飛跡検出を構築することが研究の最終目標である。AC-LGADは、増幅層である濃いpn接合部と信号読み出し電極とを酸化膜で隔て信号読み出しはAC的に行う新しいタイプのLGAD(low-gain avalanche diode)検出器で、一様性な増幅層で増幅されるため、一様な時間分解能が期待できる。 前年度の最初の試作の評価結果をうけ、2021年度の試作では増幅層インプラントの濃度と酸化膜層厚を最適化し、センサーの評価をすすめた。高い位置分解能を実現するために、50~200μm角のピクセル型を含めて、ベータ線や東北大ELPHの電子ビームを用いて増幅度と時間分解能の評価を進めた。読出しアンプとして16chの表面実装型のものを試作し、ノイズを低減することに成功した。このアンプを上記の試験に使い、高速(4GHz)オシロスコープで波形や時間分解能を評価している。 電極サイズの大きなパッド型はAC-LGAD信号の基準とみなせるが、100μm角のピクセルではパッド型と同程度の信号量が得られた。一方、ストリップ型はパッド型に比べ波高が1/3程度になり、長い電極による信号の減衰が明らかにした。ストリップ電極間静電容量によるものと解釈できる。50μm角ピクセルでも信号は観察されたが、ワイヤボンド条件が他のピクセルと異なるために、信号量の評価は今後の研究課題である。 これらの評価結果はIEEE国際会議および日本物理学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高位置分解能のために、AC-LGADの電極細分化に取り組み、ストリップ型で80μmピッチのもの、ピクセル型で100μm角のもので飛跡検出器に用いることができる増幅度をもつセンサーを開発できた。
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Strategy for Future Research Activity |
時間分解能はいくつかの要素で決まるが、荷電粒子の通過においては、ランダウ効果によって信号形状が事象ごとに異なり、その違いの大きさはセンサー厚に依存する。今年度に繰り越した研究費で従来の50μm厚に加え20μm厚のセンサー厚のサンプルを試作する。赤外パルスレーザーを用いると深さに依らず電荷発生量が一様であるためランダウ効果を含まない時間分解能評価ができる。また、良い時間基準を与える装置を用いることも重要となる。 LGADでは放射線を浴びると増幅層の密度が低下し、信号増幅に必要なバイアス電圧が上昇することを明らかにしてきた。この影響が発生しにくい新たなセンサー製造方法を試験する。 現行では16chアンプを前段増幅器として用いているが、ピクセル型の多くの電極信号を読み出すにはASIC集積回路が必要である。現行で入手できるいくつかのASICで読み出しを行い、また、2㎝角の大型センサーを試作し、最終的にASICでの読み出せるAC-LGADを実現したい。
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