2021 Fiscal Year Annual Research Report
人工薄膜構造導入による次世代超伝導加速空洞開発の新展開
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19H04395
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
片山 領 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (60806959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 芳久 京都大学, 複合原子力科学研究所, 特任准教授 (00144387)
佐伯 学行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (70282506)
不破 康裕 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究職 (00817356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超伝導空洞 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)株式会社アルバックと共同で開発した空洞内面にDC スパッタリングによりニオブ薄膜を生成できる成膜装置を手に入れた。それと並行して、KEK 機械工学センターと共同で成膜装置の排気チャンバーの設計・製作を行った。これにより、成膜研究を進める上で最も重要なコンポーネントが揃い、KEK 単独で成膜研究を推進できる体制が整備されることとなった。 (2)本研究では、実際の空洞を模した穴あき空洞に取り外し可能なサンプル(クーポンサンプル)をはめ込んだ状態で成膜試験を行い、Hc1、転移温度、表面荒さ、膜厚の影響の評価が行われることが想定されており、そのための前段階としてクーポンサンプルの安価な大量な製造方法の確立が望まれていた。実際に、マシニングセンタを用いてサンプルを大量に切り出せることが確認した。そして、それらのサンプルに対して一挙に電解研磨処理を施せる技術を開発した。 (3)上記のクーポンサンプルの Hc1 を効率的に実施するための評価装置の構築を進めた。具体的には、(a)低温実験でサンプルを冷却する液体ヘリウムの貯蔵容器を外部から調達(b)高精度で磁場を印加できるスモールコイルを製作(c)多連コイルに対する電流を別々に制御して一回の測定で四つのクーポンサンプルの Hc1 測定を一挙に行うことを可能とする電子回路の設計・製作を行った。 (4)将来の3 GHz 空洞の縦型電界性能評価試験に向けて実験環境の構築を進めた。高周波源、アンプ、 RF ケーブル、アンテナの整備・製作、それらを用いた RF パワーの入力、入力と反射と透過波のパワー測定などを行えるようになっている。 (注)(1)は繰越予算が使用された関係上、実際に作業が完了した時期は 2022 年となります。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度中頃以降、アルバックと共同で進めていた空洞内部への成膜技術開発が継続されない運びとなったため、研究者側の手で空洞内部への成膜試験を行える体制を構築する必要に迫られた。最終的にアルバック側から共同研究で開発した空洞内部へのニオブ薄膜成膜装置一式を KEK 側へと継承できる運びとなった。また、それに対応すべく、KEK 側で成膜研究を進めるために必要な排気チャンバーの設計・製作が完了している。これにより、今後、研究者側の手により空洞内部への成膜研究を行える体制の基礎が築かれた。また、空洞内部へと超伝導薄膜を成膜した際に空洞の各面の超伝導特性の性能評価を行うために必要な低温サンプル実験装置の構築を進め、関連する装置開発と物品の調達が進められている。 さらに、分担者の不破氏の手によって 3 GHz 空洞の測定のための準備が進められ、RF を用いて空洞の基礎的な性能評価試験が行えるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)3 GHz 空洞に対する成膜試験の実施 (2)低温サンプル実験設備における Hc1 測定 (4)3 GHz 空洞の縦型電界性能評価試験の実施
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Research Products
(2 results)