2021 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導加速空洞の高Q値と高加速勾配の実現のための現象解明と新規材料開発
Project/Area Number |
19H04402
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
梅森 健成 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (60353364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有沢 俊一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 上席研究員 (00354340)
許斐 太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (20634158)
井藤 隼人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 特任助教 (30881552)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超伝導加速空洞 / ニオブ / 磁束 / 表面抵抗 / 表面分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、ニオブ製超伝導加速空洞の高Q値化・高加速勾配化を目指して、(1)ニオブ表面の最適化、(2)ニオブ表面に捕捉される磁束の制御をテーマに研究を進めた。 (1)ニオブ表面の最適化については、真空炉ベーキングと呼ばれる新しい表面処理手法を開発した。ニオブ表面には安定状態として酸化膜が形成されているが、真空炉中での熱処理を施すことで、表面の酸素をニオブ中に拡散させている。この熱処理温度を変えて、酸素の拡散度合を制御することで空洞性能が劇的に変わることが分かった。例えば、300~400度の処理では非常に高いQ値を実現、約200度の処理では高Q値かつ高勾配を実現、約600度の処理では非常に小さな残留抵抗を実現、と言うように、空洞使用用途に応じて最適な熱処理パラメータを選択することで、超伝導加速空洞の高性能化が実現できるようになった。 次に、(2)ニオブ表面に捕捉される磁束に関しての研究を推進した。高周波を励振した際に、捕捉磁束は表面抵抗の要因となり空洞性能を劣化させるため、高Q値の実現のためには、空洞冷却時における磁束制御が必須である。本研究では、磁気光学イメージング(MO)法を用いて、超伝導転移の際の磁束の動きをリアルタイムで観測することにより、磁束の振る舞いについての理解を深めた。加速器グレードの超高純度ニオブサンプルを用いて実験を行い、数~数100 Oe程度の磁場中冷却において磁束がある程度凝集してバンドル(クラスター)を形成する中間混合状態が出現する、という知見を得た。これは捕捉磁束のメカニズム、高周波における捕捉磁束による表面抵抗の起源のヒントとなるものであり、非常に興味深い実験結果である。 以上の(1)および(2)の研究成果は、それぞれ査読付き論文としてまとめられ、PTEPおよびPhysical Review Bから出版された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 走査SQUID顕微鏡を利用した物性評価と材料開発2021
Author(s)
有沢 俊一, 田中 康資, 山森 弘毅, 柳澤 孝, 常盤和靖, 石津寛, 西尾 太一郎, 立木 実, 大井 修一, 菊池 章弘, 許斐太郎, 久保毅幸, 井藤隼人, 加古永治, 阪井寛志, 梅森健成, 林 忠之, 遠藤 和弘, Petre Badica
Organizer
NIMS先端計測シンポジウム2022
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