2021 Fiscal Year Annual Research Report
μeV~neV領域の超単色X線回折法の開発と物質ダイナミクス研究への応用
Project/Area Number |
19H04404
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
三井 隆也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 上席研究員 (20354988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和田 謙二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, グループリーダー (60343935)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 量子ビーム / メスバウアー分光 / 核共鳴散乱 / 放射光 / 非弾性散乱 / メスバウアー効果 / X線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バンド幅可変核分光器と結晶コリメーターで放射光から生成したμeV~neV領域の平面波超単色X線を用いて物質のダイナミクスを調べる先進的放射光計測技術を創出するものである。本年度は、SPring-8のBL11XUに導入した放射光メスバウアー回折装置を用いて、完全単結晶における熱散漫散乱(TDS)のX線動力学的回折効果の観測や高分子、誘電体のスローダイナミクス研究を継続して行った。年度の前半には、昨年度観測に成功した対称反射Si(111)反射おけるTDSの動力学効果を非対称反射Si(111)反射について調べた。両者の結果を比較することで、Si(111)反射におけるTDSの動力学効果には、回折の全反射領域では、結晶内のX線波動場と原子面との相対位置関係が大きく寄与するのに対し、全反射領域から離れた角度では動力学的な消衰距離の角度依存性が大きく寄与することが分かった。この他、分子量の異なるポリスチレンの高温でのガラス転移の挙動解析を行い、分子量の低下に伴いガラス転移温度が劇的に減少する様子を観測することができた。これら結果は、別途、査読付き論文として報告された。年度の後半には、超分解能結晶回折実験の応用研究として、Siと原子半径の異なるGe(111)の室温から高温までのTDSの動力学効果の観測、および、ミクロン程度に集光したγ線を用いた結晶回折法による誘電体(BaTiO3)のドメイン境界付近のダイナミクス研究が実施され、現在、得られたデータの解析を進めている。これまでの結果から、研究の当初目的である、μeV~neV領域の超高エネルギー分解能と1秒角以下の角度分解能を有する超高分解能X線回折法を確立できたと考えている。今後は、現行の研究課題に加えて、本手法を用いた機能性結晶、高分子や生体物質のダイナミクス研究の広い応用展開を進めていく予定である。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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