2020 Fiscal Year Annual Research Report
利用者の研究練度に応じた多様な観点を統合する学術情報システム
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19H04421
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
吉田 光男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60734978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
風間 一洋 和歌山大学, システム工学部, 教授 (60647204)
佐藤 翔 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (90707168)
桂井 麻里衣 同志社大学, 理工学部, 助教 (70744952)
大向 一輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (30413925)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オルトメトリクス / 研究評価 / 情報検索 / 計算社会科学 / ソーシャルメディア / Twitter / Unpaywall / arXiv |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に,(1)学術情報に関する多面的評価指標の開発,および,(2)多面的評価を扱える学術情報システムの検討を行った。 (1)については,論文がどの程度普遍的なものとして扱われているかを示す普遍度を開発した。この指標は,論文に対する言及や閲覧のコミュニティ構造をモデル化したものであり,CiNii Articlesの検索ログとソーシャルメディア上の論文の言及データを用い,同一の論文集合に対する論文の閲覧と言及の違いや特性を分析すると同時に,提案指標の妥当性を検証した。その結果,普遍度が高い場合は,ユーザ数も多い傾向があるものの,逆は成り立たず,ソーシャルメディア上で話題性だけで広く拡散するだけの論文の評価を下げられることなどが分かった。また,普遍度はユーザ集合の年齢や職業などの影響を受けていることも分かり,多面的な評価観点が取り入れられていることが示唆された。 (2)については,多面的評価を扱える,つまり複数のソートを導入できる検索システムの基盤を構築した。具体的には,書誌情報がオープンデータとして公開されているarXiv.orgを対象とし,本研究課題で開発している評価指標の一部で並び替えることのできる論文検索システムを構築した。 以上のほかにも,Unpaywallを利用して日本と世界のオープンアクセス(OA)状況を調査し,日本と世界のOAの割合はそれぞれ41.83%,29.77%であることが明らかになった。また,arXiv.orgの言及者を4つの行動タイプに分け,言及の特徴を分析したところ,それぞれのユーザは,4タイプのいずれかの行動タイプのユーザとして振る舞い,複数の行動を行わない傾向にあることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は学術情報に関する多面的評価指標の開発し,その有効性の調査を目標としており,この調査結果は学術雑誌等で公表した。よって,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査により,論文に対する言及や閲覧のコミュニティ構造をモデル化した普遍度を用いることで,多面的評価指標となり得ることが分かった。この結果を受け,閲覧中のユーザ行動を取り入れることにより,より高度な評価指標の確立を目指す。また,閲覧中のユーザ行動の実データを集めるために,稼働中の実サービスへの導入を目指す。
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Research Products
(8 results)