2021 Fiscal Year Annual Research Report
High performnce functionalization of Zr alloys to decrease MRI artifact
Project/Area Number |
19H04464
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
塙 隆夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘆田 茉希 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50708386)
中石 典子 (寺田) 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 技術職員 (60374550)
堤 祐介 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主席研究員 (60447498)
陳 鵬 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70708388)
野村 直之 東北大学, 工学研究科, 教授 (90332519)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジルコニウム合金 / 低磁性 / 結晶構造 / 耐食性 / 細胞機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、医療用新合金の基盤的研究を通じて、ジルコニウム合金の結晶組織、機械的性質、磁化率、耐食性、安全性、生体機能の関係を学術的に明らかすることを目的する。 Zr-14Nb-5Ta-1Mo合金からMoを除いたZr-14Nb-5Ta合金の磁化率、組織及び機械的性質を評価した。また、Zr-14Nb-5Ta合金に冷間スウェージング加工を施し、加工との性質を調べた。その結果、以下の知見が得られた。1.Zr-14Nb-5Ta合金は、Zr-14Nb-5Ta-1Mo合金と同等の低磁化率、低ヤング率を示す。2.Zr-14Nb-5Ta合金はβ相安定化元素であるMoをZr-14Nb-5Ta-1Mo合金から除いたことによってわずかにω相量が増加し、引張強さが向上する。3.Zr-14Nb-5Ta合金に冷間スウェージング加工を施すことで加工前の低い磁化率及びヤング率を維持できる。4.冷間スウェージング加工による組織の微細化によって、Zr-14Nb-5Ta合金は高強度化が可能である。 骨芽細胞様細胞MC3T3-E1を用いてその接着性、増殖性、分化能及び石灰化能の評価を行い、Tiと比較検討した。その結果、培養時間と共に細胞数は増加していたが、Zr合金はTiと比較して細胞増殖性はやや良好であった。細胞内ALP活性の発現量の変化傾向はZr合金とTiはほぼ同等であり、6,8,14日目にはTiでの細胞内ALP活性の発現量が高かった。ARS染色の結果、Ti表面ではZr合金に比べて染色面積が広く、石灰化物のCaイオン定量ではTiが多少優れていた。つまり、Tiと同様に細胞接着性・増殖性及び合金表面上での細胞分化能・石灰化能は良好であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zr-14Nb-5Ta-1Mo合金からMoを除いたZr-14Nb-5Ta合金の耐食性、加工による結晶構造と機械的性質の変化を明らかにできた。また、Zr-14Nb-5Ta-1Mo合金の細胞機能を明らかにできた。そのため、これらの合金の力学的信頼性、安全性を示すことに成功した。 Zr-14Nb-5Ta合金は、Zr-14Nb-5Ta-1Mo合金と同等の低磁化率、低ヤング率を示し、Zr-14Nω5Ta合金はβ安定化元素であるMoをZr-14Nb-5Ta-1Mo合金から除いたことによってわずかにω相量が増加し、引張強さが向上し、Zr-14Nb-5Ta合金に冷間スウェージング加工を施すことで加工前の低い磁化率及びヤング率を維持でき、冷間スウェージング加工による組織の微細化によって、Zr-14Nb-5Ta合金は高強度化が可能であることが明らかになった。 また、培養時間と共に細胞数は増加していたが、Zr合金はTiと比較して細胞増殖性はやや良好であった。細胞内ALP活性の発現量の変化傾向はZr合金とTiはほぼ同等であり、6、8、14日目にはTiでの細胞内ALP活性の発現量が高かった。ARS染色の結果、Ti表面ではZr合金に比べて染色面積が広く、石灰化物のCaイオン定量ではTiが多少優れていた。つまり、Tiと同様に細胞接着性・増殖性及び合金表面上での細胞分化能・石灰化能は良好であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
Zr-14Nb-5Ta合金の耐食性向上、細胞機能に関する研究をさらに進める。 Zr合金はその表面に不動態皮膜を生成しこれが耐食性の維持に貢献している。しかし、孔食は結晶中の介在物によって起こる。そこで、表面処理によってZrの耐食性を向上させることを試みる。特定の溶液環境中で電圧および電流を制御し、アノード分極とカソード分極を交互に繰り返すことで、強制的な局部腐食の誘起と不働態皮膜の修復を実施する。予備試験の結果、実際に耐食性向上に効果のある条件を見出し、腐食性の異なる 2 種類の溶液 による処理を選定し、表面処理後試料の表面形態および凹凸を評価するため、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡による観察を行う。表面処理を施した試料の生体内における耐食性を評価するため、37°C の生理食塩水(0.9 mass% NaCl水溶液)中で動電位アノード分極試験を行う。腐食電位近傍から掃引を開始し、孔食の発生に伴う電流値の上昇を確認後、電流密度が約 10 mA cm-2に達した時点で測定を終了し、得られた分極曲線より,孔食電位(Epit)の値を決定する。 さらに、X線光電子分光によって、Zr合金の不動態皮膜の組成、化学的状態を明らかにし、耐食性との関係を明らかにする。 細胞機能については、繊維芽細胞の細胞増殖、接着・伸展、遺伝子発現によって、軟組織適合性を評価する。 次年度は最終年度であるため、研究成果を総括し、Zr合金に関する体系的知識を獲得することで、基盤となる一般的理論・普遍的原理に基づいた汎用的な合金設計およびプロセス技術を提案する。
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