2019 Fiscal Year Annual Research Report
高度生殖医療技術の標準化を実現する医療対応型全自動細胞診断システムの開発
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19H04481
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
阿部 宏之 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10375199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒谷 玲子 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (00453043)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオ関連機器 / 医療・福祉 / 超精密計測 / 先端機能デバイス / ミトコンドリア / 細胞呼吸 / 生殖医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
不妊治療成績の向上には、精度の高い生殖細胞品質診断システムの開発が不可欠である。本研究では、(1)電気化学計測技術、(2)超精密自動位置決め技術、(3)高精度ミトコンドリア機能解析技術を応用した医療対応型全自動細胞品質診断システムの開発を目的とする。本年度は、超高精度位置決め技術を応用した自動細胞呼吸システムを開発するために、以下の研究を行った。 (1)超高感度マイクロ電極と単一細胞呼吸測定技術の開発:単一の卵子および細胞の酸素消費量を安定的・高感度で測定できる高感度マイクロ電極の開発を試みた。酸素の還元条件下-0.6V、計測レンジ1 nAにおいて、電流値-0.2~-0.5 nAの感度(従来の10倍程度の感度)を可能とする先端径2 umのマイクロ電極を安定的に製作できるシステムを確立することができた。マウスおよびウシの卵子と培養細胞を用いてマイクロ電極の性能評価を行った結果、単一細胞レベルでの呼吸量測定が可能であった。自動測定ステージにマイクロ電極を装着し、測定時のノイズの発生を調べた結果、やや測定感度に影響するノイズが検出された。 (2)医療対応型呼吸測定液の開発:マイクロ電極を汚染せず、測定感度に影響しない計測液の組成を検討した。その結果、一般に体細胞培養に用いている培養液を測定に用いた場合、計測電流値が大きく低下し測定が困難になることがわかった。一方、多くの受精卵培養液では顕著な計測電流値の低下は起こらなかった。 (3)高精度ミトコンドリア呼吸機能解析技術の開発:単一細胞由来の極微量試料を用いたミトコンドリア呼吸機能解析技術の開発を試みた。その結果、ミトコンドリア膜電位を単一細胞レベル非侵襲的に検出することができた。また、ミトコンドリア内膜に存在する酵素複合体チトクロームc酸化酵素(COX)の遺伝子発現変化を単一卵子のレベルで検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標としていた単一細胞の呼吸量測定技術と呼吸測定の自動化のための精密自動化ステージの装着可能な高感度マイクロ電極を作製することができた。また、単一細胞由来の微量試料を用いた細胞呼吸機能解析の基盤技術であるミトコンドリア膜電位活性とATP定量法に加えて、新たに酵素複合体チトクロームc酸化酵素(COX)の遺伝子発現変化を単一卵子のレベルで検出することができた。以上のことから、当初の計画通りに研究が進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の達成目標である単一細胞呼吸機能解析技術と自動化測定システムを開発するために、以下の研究を重点的に進める。 (1)高感度マイクロ電極と医療対応型呼吸測定液を開発し、これらを用いた単一細胞の呼吸測定システム開発し、その有効性を検証する。 (2)自動化呼吸測定システムの基盤技術である自動化ステージを完成させ、自動化ステージを制御するための制御システムを開発する。 (3)単一の卵子及び受精卵由来の微量試料を用いた呼吸鎖複合体遺伝子の発現解析技術を開発する。
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Research Products
(18 results)