2019 Fiscal Year Annual Research Report
強い近赤外蛍光を発する樹脂を材料とする術中ナビゲーション用標識具の開発
Project/Area Number |
19H04487
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐藤 隆幸 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (90205930)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近赤外蛍光 / ナビゲーション / 量子収率 / インドシアニングリーン |
Outline of Annual Research Achievements |
【概要】これまでに開発した近赤外蛍光樹脂材料を用いて,生体深部の患部および損傷を回避すべき臓器を“ひかりナビゲーション”するための標識具を試作開発し,動物実験でその有用性を検証する。 到達目標:軟性消化管内視鏡で留置できる近赤外蛍光樹脂製粘膜クリップの試作:狙い;消化管患部を漿膜面から鏡視下で位置特定するための標識技術の実現。 【目的】近赤外蛍光色素の一種インドシアニングリーン(以下,ICG)を用いた蛍光ナビゲーションは,癌治療や冠動脈バイパス手術などでその有用性が確認されている。しかし,ICGは至適濃度範囲の狭さや蛍光強度の低さが,深部に存在する患部の標識を困難にしている。また,水溶性であるICGの易拡散性は,患部の正確な位置の特定を困難にする最大の欠点となっている。このような技術課題を解決するべく研究代表者は,樹脂に高温高圧で溶融混練することのできる新規の近赤外蛍光色素および増感剤の開発を進め,画期的な近赤外蛍光樹脂材料の開発に成功した。さらに,この樹脂片は,組織内部深さ20mmに留置されても組織表面から,十分かつ明瞭に可視化できる(量子収率58%,褪光性5%未満/年)ことを確認した。本研究では,この材料を用いてナビゲーション用標識具の開発を図る。 【本年度研究実施計画】軟性消化管内視鏡で留置できる近赤外蛍光樹脂製粘膜クリップの試作:目的;術前に,軟性消化管内視鏡を用いて患部または患部周辺に留置可能であり,かつ,鏡視下手術中に,漿膜面から位置を特定することができる粘膜クリップを開発する。 【本年度研究実績】①近赤外蛍光樹脂製医療機器に関する特許を3件取得することができた。②射出成形法の最適化により、より構成が単純なクリップの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年10月までに、事前準備、クリップ材料の検討、クリップの設計(1次試作)、1次試作品の特注外注を行い、令和2年3月までに、1次特注品の納品および評価、クリップの設計(2次試作)、2次試作品の特注外注、2次特注品の納品および評価、成果のとりまとめを行う予定であったが、令和元年10月、1次試作品の特注外注を射出成形業者に発注したところ、豪雨災害による浸水のため、納品が当初予定よりも2箇月遅延することになった。この遅延のため、2次試作の完了時期を当初予定よりも2箇月延期することが必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度には、ブタを用いた模擬手術で,消化管粘膜に留置したクリップを近赤外観察用ラパロスコープ(ストルツ製)で観察し,視認性および留置性を検証する。その結果をフィードバックし,粘膜クリップの改良を行う。また,軟性内視鏡的に留置した粘膜クリップの自然脱落までの期間を確認する。
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Research Products
(12 results)