2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of diagnosis system for circulating tumor cells
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19H04495
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 正俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (20224438)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 循環がん細胞 / 一細胞解析 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん原発巣から血管中に遊離して血中を循環し遠隔臓器での転移巣形成に働き、予後や治療効果の判定に利用できる血中循環がん細胞 (Circulating tumor cell, CTC) を対象に、CTCを正確な定量検出に応用できる上皮細胞マーカーEpCAM発現に依存しない多重免疫染色が可能な平板全面細胞単層配列法、さらに標的一細胞を回収できる細胞ピンセットの開発を行う。平板なスライドガラス大のポリスチレン製基板上で基板全面に約1,500万個単位の白血球を単層配列後、上皮マーカーを含む免疫多重染色を行うことでがん細胞の多様性に対応できるCTCの定量検出と、一細胞レベルでの位置特定化が可能な基板を作成する。またCTC中に含まれ遠隔臓器で分化・増殖の中心的役割を働くがん幹細胞を、CTC検出と同時に試みる。 CTCは血液中で短時間でアポトーシスにより死滅すると考えられるが、CTC中にごく一部存在するがん幹細胞は遠隔臓器に定着・増殖することで転移巣を形成すると考えられる。幹細胞検出マーカーとして複数のタンパク質が報告されているが、開発する平板基板では、免疫多重染色が容易で、CD133など複数のマーカー候補を用いた染色を行いCTCからがん幹細胞の一細胞レベルでの検出を行う。さらに、位置特定化されたCTCの回収を目的に、微細加工技術を用いて細胞用ピンセットの開発を進める。標的とするがん細胞を一細胞レベルで回収することで、遺伝子発現解析や細胞機能解析が可能となり、強力ながん診断デバイスになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の上皮細胞膜タンパク質EpCAMを一次スクリーニングの標的とするCTC定量検出系の診断法では、EpCAM発現量の少ないがん細胞は見逃されCTC数が少なく見積もられる危険性があった。我々の開発したポリスチレン製基板での細胞単層配列・免疫多重染色法ではEpCAM発現に依存せずに白血球画分中に存在するがん細胞をサイトケラチン染色で一細胞レベルで特定化が可能になった。CTC見逃しが多いと考えられるすい臓がん患者血液を用いることで、EpCAM発現陰性サイトケラチン発現陽性のCTC検出が可能になり、がん細胞の多様性に対応可能なCTC定量検出系の構築に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
従来検出法ではCTC検出が困難で、かつ他臓器への易転移性により予後不良なすい臓がんなど消化器がんを中心に、サイトケラチンなどよりがん細胞に普遍的に発現する上皮マーカーを用いて、CTC検出系の構築とその診断応用性を確認する。
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