2019 Fiscal Year Annual Research Report
Systematical geometric analysis and asymptotic analysis for evolution equations
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19H05599
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石毛 和弘 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90272020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 竜樹 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20546147)
石渡 通徳 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30350458)
石渡 哲哉 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (50334917)
岡部 真也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70435973)
宮本 安人 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90374743)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 形状解析 / 漸近解析 / 冪凹性 / Joseph--Lundgren 指数 / 高階線形熱方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づき研究を遂行した。主なものは以下の通り。 1. 研究代表者石毛は共同研究者である Paolo Salani 氏 (フィレンツェ大), 高津飛鳥氏 (首都大) と共に、放物型方程式の解の対数凸性について研究を行った。1976 年にBrascamp-Lieb が対数凹性が熱流によって保存されることを示すことによって, 偏微分方程式の解の冪凹性の研究が本格的に始まったとも言える。 本研究では冪対数凹という新しい凹性概念を導入し, 対数凹よりも強い凹性概念である 1/2対数凹が熱流が保存する最も強い凹性であるを証明した。 2. 石毛、分担者岡部は佐藤得志氏と共に, 冪乗型非線形項をもつ非線形楕円型方程式の一つである強制項付き scalar filed 方程式における正値解の存在・非存在について, 強制項の大きさに関する臨界値の存在を示した. さらに, 臨界の場合, 非線形項の冪の度数が Joseph--Lundgren 指数より小さいならば正値解がただ一つ存在することを示した. この結果の証明は, Joseph--Lundgren 指数と楕円型方程式の正則性理論との深い関連性を示唆する 3. 石毛、分担者岡部、分担者川上は多重ラプラシアンを含む高階線形熱方程式の積分核(基本解)に対する優核を分数冪線形熱方程式の積分核(基本解)を用いて構築し, その優核が作る積分作用素が半群性の類似物を有すること示した. この優核によって, 半線形高階熱方程式が可解であるための十分条件の詳細な研究が可能になった. また, 半線形高階熱方程式が解が存在を許す非負な初期関数の最も強い特異性を特定した。
この他、当該研究グループは「Qualitative properties for nonlinear diffusion equations」を含む幾つかの国内外の研究集会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究課題は年度末にコロナ禍の影響を強く受け、国際研究集会の開催や国内外との人材交流が一部計画調書のようには進まなかった。しかしながら、優れた科研費研究員や RA の雇用により、研究成果は計画通り順調に進展している。計画調書と比べ、計画通り進んでいない研究項目は無く、一部の研究項目では計画調書作成時では予想しえなかった優れた研究成果や新たな研究の進展もある。コロナ禍によるマイナスの部分が無ければ「想定を超える研究の進展があり、期待以上の成果が見込まれる」と評価するところであるが、総合的に鑑み、「順調に研究が進展しており、期待どおりの成果が見込まれる」が妥当な評価であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行については順調に推移しているため、研究交流や柔軟な対応が求められる人材雇用以外には、研究計画全体に大きな変更はない。このため,各分担者と研究連絡を緊密に取りながら、それぞれの研究項目「 解の冪凹性理論の進展および精密化 」「 漸近解析理論の発展および応用」「発展方程式の解の爆発現象や界面現象の解析」「動的境界条件付き発展方程式」「 非線形楕円型方程式の解構造の解析」「解析学で有用な様々な不等式の最適性や精密化」を確実に遂行していく。
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