2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a germanium spin MOSFET
Project/Area Number |
19H05616
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜屋 宏平 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (90401281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤野 憲太郎 東京都市大学, 理工学部, 教授 (90409376)
山本 圭介 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (20706387)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | ゲルマニウム / スピン伝導 / スピンMOSFET |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から継続して調査していたCr,V,Cu,Coなどの3d遷移金属(TM)を挿入した強磁性ホイスラー合金/Geヘテロ構造を用いたゲルマニウムスピン伝導実験により,電極に用いる強磁性ホイスラー合金の性能(スピン偏極率)のみならず,ヘテロ界面付近の原子数層の磁性が重要な役割を果たしているという新しい発見に繋がった.これは,室温・高性能スピンデバイスを実現する上で極めて重要な知見である[Phys. Rev. B 105, 195308 (2022)].そのため,上記の知見は半導体材料を六方晶のGaNに変更して強磁性挿入層を六方晶のCoにするという着想につながり,強磁性ホイスラー合金/Co/GaNスピン注入電極の実現による低抵抗・室温スピン注入の実証につながっている[Adv. Electron. Mater. 9, 2300045 (2023)]. また,歪みSi0.1Ge0.9層のキャリア濃度や微細加工プロセスを見直すことで,「室温付近」でも歪み印加効果を増大することに成功した.室温でのスピン拡散長がSiに匹敵するようになり(約1μm),スピンのドリフト伝導を利用することで長距離スピン輸送(約5μm)も達成した.これらの成果は,今回のSi0.1Ge0.9だけではなく,多谷(マルチバレー)半導体チャネル電子デバイスにおけるスピントロニクス性能を向上する指針を与える極めて重要な成果である[Phys. Rev. Applied 18, 024005 (2022)].また,分担者との共同研究により,歪みSi0.15Ge0.85層の作製時に生じる「クラック」の抑制手法を開発し,Geリッチ組成のSiGeチャネル層に様々な歪みを印加する技術を開発できた[Appl. Phys. Express 16, 015502 (2023)].今後の量子井戸構造作製技術を開発する上で重要な成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半導体スピンデバイス実現の鍵である「強磁性電極構造の最適化」に関する重要な知見を得ることができ,Phys. Rev. B誌に論文を掲載できたことや,分担者と共同で開発した歪みSi0.1Ge0.9チャネル層を用いたスピン緩和機構の抑制効果が室温でも有効であるという知見を得ることができ,Phys. Rev. Applied誌に論文を掲載できたため,おおむね順調な研究成果であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の有するスピン注入技術と整合する「Ge/SiGe量子井戸構造」や「トップゲート型MOSFET構造」を分担者と共同で実現して,室温動作スピンMOSFETの動作実証を目指す.
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