2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive search of cancer specific enzymatic activities and creation of innovative neutron capture therapy probe
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19H05632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20292956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石沢 武彰 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (10422312)
田村 磨聖 大阪大学, 核物理研究センター, 特任講師(常勤) (20747109)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 中性子捕捉療法 / 量子化学計算 / がん / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、食道がん部位などで活性亢進が見られるジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)を標的としたキノンメチド型BNCTプローブEP-4OCB-FMAの合成・開発に成功している。本プローブを生細胞に適用すると、DPP-4高発現細胞選択的に細胞内に滞留し、十分な細胞内ホウ素濃度を実現可能であることが明らかになっていた。 本年度はこのBNCTプローブを用いて、京都大学研究用原子炉(KUR)で中性子照射を行い、培養細胞ならびに担癌モデルマウスでのBNCT治療効果を評価した。 まず培養細胞での実験において、生細胞にEP-4OCB-FMAを曝露後、中性子照射を行い、細胞生存率をコロニーアッセイによって評価した。その結果、DPP-4 positiveであるH226細胞、Caco-2細胞では高い細胞殺傷効果が確認され、この効果はDPP-4阻害剤の共投与によって抑制されることがわかった。さらにCaco-2細胞においては、既存BNCT薬剤であるBPAよりも優れた細胞殺傷効果が見られることがわかった。 次に、H226皮下腫瘍モデルマウスを作成し、in vivoでの評価を行った。まず、EP-4OCB-FMAを腫瘍内投与し、即発ガンマ線分析により腫瘍内ホウ素濃度を定量したところ、投与後24時間においても高濃度のホウ素が腫瘍内に滞留していることが示唆された。さらに薬剤を腫瘍内投与してからBNCTを行い、その後約1か月間にわたり腫瘍サイズを計測したところ、薬剤投与群で腫瘍の増大抑制を確認することができた。この効果は、DPP-4阻害剤の共投与によりキャンセルされ、さらに中性子線照射依存的であった。また、マウスに顕著な体重減少は見られなかったことから、副作用も少ないことが示唆された。 以上より、EP-4OCB-FMAが腫瘍細胞選択的な酵素活性をターゲットとする有用なBNCT薬剤であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文字数の制限から、実績概要の項目に記載できなかったが、本年度も様々ながん種の新鮮臨床検体由来サンプルを蛍光プローブライブラリーへと適用することで、がん特異的イメージングを達成する蛍光プローブのスクリーニングとバイオマーカー酵素活性の同定を行い、特に肺がん、卵巣がん、大腸がんなどで新たなプローブとバイオマーカー酵素活性が発見されるなど、顕著な成果が得られ、一部の成果に関しては論文公表と特許出願を完了した。またBNCTプローブに関しては、実績概要に記載したとおり、既存の代表的なBNCT薬剤であるBPA-fructoseよりも多くのホウ素原子をがん細胞特異的に付与可能であり、またその細胞内滞留性も十分に高く、washout操作を行ってもホウ素量があまり減少しないなど、当初計画通りの特性を有することが明らかとなり、実際にモデル動物を用いたin vivo BNCT実験でも良好な結果が得られた。以上の結果から、本研究課題は順調に進展していると結論できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本申請課題では、様々ながん種に対する術中迅速がんイメージング技術の確立を一つの大きな目的としており、昨年度までに様々ながん種の蛍光イメージングプローブのスクリーニングとバイオマーカー酵素活性の同定を達成した。最終年度である本年度も、これまでに開発したライブラリーを活用して、有効性の高いがん可視化プローブのスクリーニングと、新規治療技術確立に資するバイオマーカー探索を、分担研究者の石沢及び外部の研究協力者と協同して継続する。特に昨年度明らかとなった、治療が困難な卵巣がん原発巣と腹膜播種病変のバイオマーカー酵素活性の違いに関する知見をさらに深め、それぞれの治療効果を発揮するために最適な酵素活性の同定を目指す。 BNCTプローブの開発に関しては、京大原子炉実験所で行ったパイロット実験で良好な結果が得られたことから、最終年度でプローブのADME側面からの構造最適化、DDS技術を用いた薬剤血中半減期の最適化、マウスモデルへの静脈内あるいは腹腔内投与によるがん治療効果の検証、従来型のプローブであるホウ酸フェニルアラニンプローブとの細胞殺傷効果の比較検証を鋭意行い、より実践的な投与形態によるBNCT技術としてのPOCを得ることを目指す。同時に分担研究者田村が改良を行っている装置での中性子線照射実験を行い、BNCT治療技術としての機能を詳細に検証する。 最終年度は以上の検討を通じて、臨床がん治療技術として実用的なプローブ開発研究に軸足を移し、本課題の最終ゴールである、「従来法とは一線を画す」深部微小がんの選択的治療、検出を実現する新規がん医療技術創成の達成を目指す。
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Research Products
(39 results)