2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of cognitive and learning mechanism of cerebral cortex by multiscale optogenetics
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19H05642
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 研一 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50332622)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚野 / イメージング / 光遺伝学 / 神経回路 / 情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
高次視覚野で、複雑な機能を実現する神経回路についてはほぼ全く知られていない。この理由の一つとして、高次視覚野の神経細胞の受容野が非線形的であるため、それを系統的に調べる方法がないという問題がある。この問題について、深層学習(deep learning)を用いて、高次視覚野の神経細胞の非線形で複雑な受容野を系統的に調べる方法を開発し解決した。 一次視覚野の単純細胞の性質は、線型システム解析により、その受容野の構造が詳細に調べられているが、複雑型細胞の性質は、その強い非線形性により、系統的に調べることが難しくなる。さらに高次の視覚野では、複雑な図形に対する選択性と強い非線形性が加わって、最適刺激を系統的に調べる方法がなく、あるレパートリー内の刺激を提示して良く反応する刺激を検索することしかできていない。この問題を解決するため、様々な視覚刺激に対する高次視覚野の細胞の反応を、深層学習のネットワークに忠実に写し取り、そのネットワークの挙動を詳細に調べることによって、高次視覚野の細胞の機能を系統的に解析する方法を開発した。マウスの腹側経路の高次視覚野であるLM野の神経細胞集団について、この解析法を適用し、LM野の神経細胞の最適刺激を求めたところ、V1でみられるような単純な線分に最適に反応するのではなく、折れ線、曲線、パターンなど多様な複雑な刺激を最適図形として持つことがわかった。これにより、高次視覚野の神経細胞の受容野を系統的に調べる方法が開発された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り研究が進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、一次視覚野(V1)において、個々の神経細胞がどのような入力を受け取り、それを組み合わせてどのような出力を出しているのかその素過程の解明を試みる。R1年度に開発したin vivoで活動電位の逆伝播を停止させながら、スパインの2光子カルシウムイメージングを行う実験系を用い、視覚野の個々の興奮性ニューロンから、スパイン活動の大規模イメージングを行い、シナプス入力の空間機能マップを作製する。動物に視覚刺激を提示し、細胞体の活動を記録したのち、細胞体活動を光抑制しスパインの活動を2光子カルシウムイメージングにより記録する。大規模イメージングを行い、1個のニューロン当たり約1000個のスパインの活動を記録し、その結果を用いて、ニューロンの樹状突起上に約1000個のスパインの位置と反応を示し、シナプス入力の機能マップを作製する。さらに、このようにして作成したシナプス入力空間機能マップをもとに、シナプス統合のメカニズムを解析する。まず、細胞体と同じ反応を示すスパインが多いかどうか検証する。次に、細胞体と同じ反応をするこれらのスパインが、特定の枝にクラスターを形成しているかどうか検証する。最後に、樹状突起統合モデルを立て、各スパインのカルシウムシグナル変化から細胞体の反応の予測が可能かどうか検証する。このとき、(1)スパイン入力の単純な加算、(2)スパインのクラスターを考慮に入れたモデル、(3)活動電位の発生の閾値を考慮したモデル等を検討し、細胞体の活動に、スパイン入力の数、クラスター、活動電位の閾値がどのような影響を与えているかを検証する。
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Research Products
(10 results)