2022 Fiscal Year Annual Research Report
Biology of sugar-alcohol modification in glycan
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19H05648
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 玉夫 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, シニアフェロー (30168827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 純一 鳥取大学, 農学部, 教授 (30221401)
加藤 龍一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (50240833)
山口 芳樹 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (90323451)
小林 千浩 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (90324780)
永森 收志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90467572)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 糖アルコール / 筋ジストロフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たな翻訳後修飾体としてのリビトールリン酸(RboP)の生物学的意義を確立することを目的としており、今年度は、以下の成果が得られた。 ・2020年度に合成に成功したRboP-GalNAcにアルキン等の官能基を装着したアグリコンを結合させ、マトリグリカン糖鎖合成のための人工基質候補を作製した。これらの人工基質がFKRP以降のマトリグリカン産生に関わる酵素による逐次的糖鎖伸長反応の基質となることを明らかにした。 ・正確な立体配置をもつ6糖以上のマトリグリカンの化学合成に成功しラミニンとの結合性を確認できた。また、合成6糖および4糖を用いた解析からGlcA-Xylリピート糖鎖部分は細長いヘリックス構造を形成し、ラミニンは糖鎖の中央部分に結合していた。さらに、バイオレイヤー干渉法および表面プラズモン共鳴法により解離定数を算出し、ラミニンとの結合には4糖以上の鎖長を必要とし、より長鎖の方が強い相互作用を示すことを明らかにした。 ・SLC35A1のCDP-Rbo輸送活性を明らかにするため、これまでに確立してきた無細胞輸送解析系のスケールアップを試みた。輸送機能試験に必要な十分量のSLC35A1プロテオリポソームを調製し、SLC35A1がCMPとCDP輸送活性を保持していることを確認した。 ・筋ジストロフィー様病変を呈するCDP-Rbo合成酵素(ISPD)の骨格筋特異的ノックアウトマウス(cKO)を作出しCDP-Rbo投与による筋病変の治療効果を確認した。CDP-Rbo投与により筋組織内におけるCDP-Rbo量とマトリグリカン糖鎖の産生が確認されたが、その効果は限定的であった。その要因としてCDP-Rboは親水性が高く細胞膜の透過性が低いためと考えられた。そこで、膜透過性を高めるためRboの水酸基をアセチル化したプロドラッグを作製し投与した結果、筋組織内へのCDP-Rboの取り込み量とマトリグリカンの産生量が著しく増加し、筋ジストロフィー病変に対する治療効果を示すことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6糖以上の長いマトリグリカンの化学合成に成功した。4糖と6糖の合成糖鎖を用いた解析によりマトリグリカンの構造およびラミニンとの相互作用に関する物理化学的な性質を明らかにすることができた。SLC35A1については、目的のCDP-Rboの輸送活性の確認には至らなかったが、CMPとCDP輸送活性を検出でき、生理機能を保持したプロテオリポソームの大量調製に成功した。ISPD cKOマウスの解析から、CDP-Rbo欠損によりマトリグリカンの欠失と筋ジストロフィー様病変が確認され、RboP修飾が筋組織に重要であることが示された。以上のことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に引き続き、以下の実験を行う。 ・関連酵素の構造解析:FKTNとTMEM5については、その大量発現系の検討においてヒト由来配列では収量および精製度を十分に確保できなかったため、様々な動物種由来の配列を用いて発現させ、結晶化・構造解析を進める。 ・RboP生合成経路の解析:CDP-Rbo生合成の原料となるRboPの産生経路が哺乳類では不明であるため産生酵素の特定を目指す。 ・CDP-Rbo輸送体の解析:CMPやCDPの輸送活性を示すSLC35A1プロテオリポソームが大量調製できたので、これを用いてCDP-Rbo輸送活性を測定する。
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[Presentation] CDP-リビトールプロドラッグ治療はISPD欠損筋ジストロフィーマウスモデルを改善する2022
Author(s)
徳岡 秀紀, 今江 理恵子, 中島 瞳, 萬谷 博, 増田 千明, 星野 駿介, 小林 千浩, Lefeber Dirk, 松本 理器, 岡田 尚巳, 遠藤 玉夫, 金川 基, 戸田 達史
Organizer
第95回日本生化学会大会
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