2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of pathogenic immunological memory to understand the pathogenesis of intractable inflammatory diseases
Project/Area Number |
19H05650
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 俊憲 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50237468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池原 譲 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10311440)
|
Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
|
Keywords | アレルギー・ぜんそく / 病原性免疫記憶 / 組織常在性T細胞 / iBALT |
Outline of Annual Research Achievements |
「生体にとって有害な(Pathogenic)免疫記憶T細胞が分化し長期間維持される分子機構」をクロマチンレベルおよび生体レベルで解明することを目的として、次の3つの解析を行った。 (1)線維化誘導-Pathogenic記憶T細胞を解析した結果、この細胞集団は、肺の間質中に一定期間定住するいわゆる“組織常在性”の特徴を有していることを明らかにした。さらに、慢性炎症で誘導された線維化組織には制御性T細胞が誘導され、この制御性T細胞集団が線維化誘導-Pathogenic記憶T細胞によって引き起こされる組織線維化を抑制することを明らかにした。 トライソラックス分子群の一つであるCxxc1が、Th2細胞の分化後期で発現が再上昇する遺伝子群を特異的に制御することが明らかになった。さらにCxxc1が欠損したTh2細胞では、IL-5をはじめとする炎症性サイトカインを過剰産生するPathogenicなTh2細胞が誘導され、組織線維化を伴うアレルギー性気道炎症の増悪が引き起こされることを明らかにした。 (2)多重免疫染色と共焦点レーザー顕微鏡を用いた免疫組織学的解析と平行する形で、走査型電子顕微鏡を用いて、上皮細胞の細胞外マトリックス、好酸球によって増生してくる線維細胞の細胞外マトリックス、線維芽細胞の増生や、平滑筋の肥大化などを指標に解析を行った。 (3)好酸球性副鼻腔炎の患者1例から鼻腔内に発生したポリープを採取し、そこから記憶CD4 T細胞(CD4+CD5RO+細胞)を調整した。この細胞のSingle cell RNA-sequence解析を行ったところ、様々な機能集団に分けることができた。現在、ヒトにおける組織線維化-Pathogenic T細胞をはじめとする病原性ヘルパーT細胞の特徴やマウスとの異同について、in silicoの解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
線維化誘導-Pathogenic記憶T細胞の性質を明らかにする目的で、Aspergillus fumigatus抗原の反復曝露で誘導したマウス肺線維化モデルを独自に確立した。この肺に誘導されたPathogenic記憶CD4T(tissue resident memory CD4 T; CD4 Trm)細胞集団は、肺の間質中に一定期間定住するいわゆる“組織常在性”の特徴を有していることを明らかにした(Ichikawa et al., Nature Immunol., 2019)。これは当初の計画にはなく、想定を超える進展であり、期待以上の研究成果であった。Trmについてはその詳細に不明な点が多いが、今回我々は、RNA-SequencingやATAC-Sequencingというゲノムワイドな解析を駆使して、線維化を起こした肺組織に常在するCD4 Trm細胞のtranscriptomeおよびregulomeを世界で初めて報告しており、その学術的価値は高いと考えられる。 トライソラックス分子群の一つであるCxxc1が、Th2細胞の分化過程において、分化後期で発現が再上昇する遺伝子群における遺伝子発現を特異的に制御することを明らかにした。Cxxc1欠損Th2細胞は、過剰な炎症性サイトカイン産生を伴ったPathogenic Th2細胞へ分化してしまうことから、Cxxc1は、Th2細胞分化を制御し、Pathogenic Th2細胞へ分化することを防ぐために重要なepigenetic modulatorであることがわかった(Kiuchi et al, J Exp Med., 2021)。本研究は、これまで不明であったPathogenic Th2細胞の分化におけるエピジェネティックな制御機構を明らかにした。 以上、着実な研究進展が認められており、当初の計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)病原性記憶CD4T細胞は組織常在性の特徴を持つことが明らかになったことから、Single cell RNA-seqやエピゲノム・トランスクリプトームといった網羅的解析を駆使することで組織常在性記憶CD4T細胞の新規誘導機能分子の同定を目指す。候補遺伝子が得られた際にはその遺伝子改変マウスを作成し、組織常在性記憶CD4T細胞の維持や機能発現にどのような影響を与えるのか検討を行う。またポリコーム分子群の1つであるEzh2やトライソラックス分子群の1つであるCxxc1のコンディショナルノックアウトマウスなどを用いて線維化誘導-pathogenic記憶Th2細胞などの機能維持のメカニズムを解析する。 (2)我々が確立した「肺内に誘導される線維化組織近傍に異所性リンパ組織(iBALT)が形成されるマウスの実験系」を用いて、肺内のiBALTの形成と好酸球性炎症、気道のリモデリング、肺組織の線維化の連関について、炎症初期・炎症ピーク期・炎症消退期にわけて免疫組織学的手法と走査顕微鏡を用いた解析を行う。 (3)すでに得られた好酸球性副鼻腔炎のポリープ内の記憶CD4T細胞についてin silicoにおける解析を引き続き継続する。マウスで同定されたIL-5産生Pathogenic記憶CD4T細胞、線維化誘導Pathogenic記憶CD4T細胞または組織常在性CD4T細胞の特徴と比較し、その分化経路についての解析を行う。
|
-
-
-
-
[Journal Article] Orally desensitized mast cells form a regulatory network with Treg cells for the control of food allergy2021
Author(s)
Takasato Y, Kurashima Y, Kiuchi M, Hirahara K, Murasaki S, Arai F, Izawa K, Kaitani A, Shimada K, Saito Y, Toyoshima S, Nakamura M, Fujisawa K, Okayama Y, Kunishima J, Kubo M, Takemura N, Uematsu S, Akira S, Kitaura J, Takahashi T, Nakayama Toshinori, Kiyono H.
-
Journal Title
Mucosal Immunology
Volume: 14(3)
Pages: 640~651
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] CD1d expression in glioblastoma is a promising target for NKT cell-based cancer immunotherapy2021
Author(s)
Hara Ayaka, Koyama-Nasu Ryo, Takami Mariko, Toyoda Takahide, Aoki Takahiro, Ihara Fumie, Kobayashi Masayoshi, Hirono Seiichiro, Matsutani Tomoo, Nakayama Toshinori, Iwadate Yasuo, Motohashi Shinichiro
-
Journal Title
Cancer Immunology, Immunotherapy
Volume: 70(5)
Pages: 1239~1254
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-