2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of abnormal functioning of neuronal circuits underlying neuropathic pain and its application for drug discovery
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19H05658
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津田 誠 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40373394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八坂 敏一 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20568365)
山下 智大 九州大学, 薬学研究院, 助教 (30645635)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 神経障害性アロディニア / 一次求心性神経Aβ線維 / 光遺伝学 / 脊髄後角神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究から,ニューロペプチドYプロモーター制御神経サブセット(AAV-NpyP+神経)の活動低下がモルヒネ抵抗性Aβ線維由来アロディニアの発症に中核的役割を果たすことを明らかにしたため(PNAS 2021),本年度は,その活動低下メカニズムの解明に向けた研究に着手した。活性化したアストロサイトをドミナントネガティブSTAT3の発現により抑制することで,AAV-NpyP+神経の静止膜電位の低下が正常化することを明らかにした。 さらに本年度は,AAV-NpyP+神経とダイノルフィンプロモーター制御神経サブセット(AAV-PdynP+神経)との相互作用について,ジフテリア毒素による特異的細胞除去法やパッチクランプ法にて解析した。AAV-NpyP+神経除去ラットが発症するAβ線維由来アロディニアは,AAV-PdynP+神経の除去により抑制された。しかし,パッチクランプや神経トレーシング実験により,これら二つのサブセットは直接的には連結していないことが示唆された。 脳から脊髄後角へのトップダウンシグナルについては,マウス全脳イメージング解析から特定できた候補脳部位の中で,痛覚変調に大きなインパクトを示す部位の特定を試み,一次体性感覚野を含む複数の脳部位を特定することができた。 さらに本年度は,ミクログリアの細胞貪食解析に関連して,脊髄後角のミクログリアの一部がミエリンの細胞貪食を介してCD11c陽性サブセットに変化し,疼痛行動を抑制性に調節するという驚くべき結果を得た(Science 2022)。その疼痛抑制因子としてインスリン様成長因子1を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施項目として計画した内容を予定通り遂行し,その中で複数の特筆すべき成果を得た。(1)神経損傷後のAAV-NpyP+神経における静止膜電位の低下がアストロサイトの活性化を抑制することで正常化した。(2)神経損傷後に活性化した脊髄後角ミクログリアの一部がミエリン貪食を介してCD11c陽性サブセットに変化し,疼痛行動を抑制性に調節することを発見した(Science 2022)。これらは,モルヒネ抵抗性のAβ線維由来アロディニアの神経回路を解明するうえで非常に重要な成果であり,今後の研究の大きな進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の交付申請書の各項目(以下)に従って順次予定通り実施し,分子から細胞,個体レベルで包括的に研究を進めていく。 (1)グリア細胞によるAAV-NpyP+神経の活動低下のメカニズム (2)脳から脊髄後角へのトップダウン制御メカニズム (3)AAV-NpyP+神経の活動低下を正常化する既存薬探索
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Research Products
(19 results)