2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of abnormal functioning of neuronal circuits underlying neuropathic pain and its application for drug discovery
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19H05658
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津田 誠 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40373394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八坂 敏一 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20568365)
山下 智大 九州大学, 薬学研究院, 講師 (30645635)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Keywords | 神経障害性アロディニア / 一次求心性神経Aβ線維 / 光遺伝学 / 脊髄後角神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究からニューロペプチドYプロモーター制御神経サブセット(AAV-NpyP+神経)の活動低下のメカニズムとしてグリア細胞の関与が示唆されたことを踏まえ,今年度も継続してその解析を進めた。AAVを用いて脊髄後角アストロサイトに恒常活性型STAT3を発現させたラットでは,AAV-NpyP+神経の静止膜電位の低下とアロディニアが認められ,同ラットのアロディニアはAAV-NpyP+神経活動をDREADD法にて高めることで抑制された。さらに,アストロサイト由来因子としてマトリックスメタロプロテアーゼ2(MMP2)に注目し,AAVを用いたCRISPR-Cas9システムによってMMP2をノックダウンさせたところ,神経損傷によるアロディニアおよびAAV-NpyP+神経の静止膜電位の低下が共に正常化することを明らかにした。 脳から脊髄後角へのトップダウンシグナルについては,マウスの全脳イメージング解析から得られた結果をもとに,DREADD法を用いて脊髄後角へ投射する各脳部位の神経活動を操作したところ,一次体性感覚野から脊髄後角に投射する下行性神経が神経障害性アロディニアに重要な役割を担うことを明らかにした(Fujimori et al., Neurosci Res, 2022)。さらに,疼痛関連行動に大きな影響力を有する脳部位Xも特定することができた。 神経障害性アロディニアに直結するAAV-NpyP+神経の活動低下を是正する方法として,分子Xの効果に注目し,AAVを用いた治療法の基盤的技術の確立を目指す検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施項目として計画した内容を遂行し,その中で複数の成果を得た。(1)神経損傷後のAAV-NpyP+神経における静止膜電位の低下およびアロディニアに関わるアストロサイト由来因子としてMMP2を特定した。(2)脳からのトップダウンシグナル経路として複数の脳部位を特定した。これらは,モルヒネ抵抗性のAβ線維由来アロディニアの神経回路を解明するうえで非常に重要な成果であり,今後の研究の大きな進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の交付申請書の各項目(以下)に従って順次予定通り実施し,分子から細胞,個体レベルで包括的に研究を進めていく。 (1)グリア細胞によるAAV-NpyP+神経の活動低下のメカニズム (2)脳から脊髄後角へのトップダウン制御メカニズム (3)AAV-NpyP+神経の活動低下を正常化する方法の探索
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Research Products
(21 results)