2019 Fiscal Year Annual Research Report
Finite type invariants and Milnor invariants for welded string links
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19J00006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 康載 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ミルナー不変量 / 有限型不変量 / ウェルデッドストリング絡み目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ウェルデッドストリング絡み目に対する有限型不変量が、ウェルデッドストリング絡み目の幾何学的情報をどのように反映しているかを解明することである。ウェルデッドストリング絡み目の有限型不変量は仮想化変形と呼ばれる局所変形を用いて定義されるため、仮想化変形は本研究課題において重要な研究対象である。本年度は仮想化変形に関連する研究を行った。以下、その概要を二つに分けて述べる。 (1)仮想化変形の一般化として、自然数nで添字付けられた二種類の局所変形の族V(n)-moveとV^n-moveを導入した。各nごとに、V(n)-moveによって生成される同値関係の下でのウェルデッド絡み目の完全分類を与えた。V^n-moveに対しては、二つのウェルデッド絡み目がV^n-moveで移り合うための必要条件を与えた。これらの結果は、ウェルデッドストリング絡み目に対しても成立する。以上の研究は、津田塾大学の宮澤治子氏と早稲田大学の安原晃氏との共同研究である。この研究成果は共著論文としてまとめられ、査読付き国際学術雑誌への掲載が受理された。 (2)宮澤治子氏、安原晃氏との共同研究を推し進め、V^n-moveとウェルデッドストリング絡み目に対するミルナー不変量に密接な関係があることを明らかにした。より詳細に述べると、法nの下でのミルナー不変量の合同類が、V^n-moveで不変となることを証明した。また、1950年代から現在に至るまで活発に研究されている2n-moveと呼ばれる局所変形とV^n-moveとの関係を明らかにした。これと先に述べた結果を組み合わせることにより、法nの下でのミルナー不変量の合同類は、2n-moveの下で不変であるという系も得られた。当該成果は共著論文としてまとめられ、査読付き国際学術雑誌への掲載が受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していたブルニアン型のウェルデッドストリング絡み目に対する有限型不変量の幾何学的特徴付けを与えるには至らなかったものの、仮想化変形の二種類の一般化を考案し、これらの局所変形の下でウェルデッド(ストリング)絡み目がどのような性質を持つかが明らかにできた。そして、V^n-moveに関してはミルナー不変量との関連まで発見することができた。これにより現在まで知られていなかったミルナー不変量の性質を明らかにした。このように当初の計画では想定していなかった本研究課題に関連する別の結果が得られたので、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、ブルニアン型のウェルデッドストリング絡み目に対する有限型不変量を幾何学的に特徴付けることに取り組む。これを達成するために、ミルナー不変量を用いてブルニアン型のウェルデッドストリング絡み目のW_k同値分類を与えることを目指す。本年度得られたミルナー不変量に関する結果を活かして、問題の解決につなげたい。
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