2020 Fiscal Year Annual Research Report
Computational and Neural Mechanisms Underlying Stable Visuo-Motor Coordination
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19J00039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 祐基 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚 / 心理物理学 / MRI / 知覚心理学 / 脳計測科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、周囲の視覚的な情報をもとに眼や手といった体の動きがどう生み出されるのか、空間情報の符号化メカニズムについて、心理物理学と脳機能計測法を組み合わせて明らかにしようとするものである。本年度は、主に視覚心理物理学的手法を用いて、視覚的定位の個人差を生み出す視覚情報処理について検討した。 視野上のどこで定位のずれが生じやすいかは個々人によって大きな違いがあるが、心理物理学実験によって、副尺視力や物体のサイズといった異なる視覚属性の知覚についても精確性が高い場所・低い場所が個人によって異なり、そのパターンが位置ずれのパターンと相関していることを発見した(Wang, Murai, & Whitney, 2020)。さらに、現在注目している物体の知覚が、過去に観察した刺激に依存して変化することを心理物理学的逆相関法を用いて明らかにし(Murai & Whitney, accepted)、現在この方法論の視覚定位への応用を検討している。さらに、視覚定位の脳内基盤を検討するため、MRI実験を行い、定位の個人差と脳内視野マップ(レチノトピー)の個人差を検討しており、これまで10名程度のデータを取得した。派遣先において新型コロナウイルス感染症による対人実験の休止が長期化しており、心理物理実験はほぼすべてオンラインに移行するなど、研究計画の大幅な変更を迫られたものの、定位行動の心理学的・神経科学的メカニズムを解明するという研究目標に対して、上記のように遅滞ない研究遂行を図っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、視覚定位に係る心理物理研究を主として進め、2報の国際誌原著論文が出版・受理された。さらに視覚定位の個人差を生み出す脳の個人差を明らかにするため、MRI実験を実施中であり、主たるデータ取得が完了しつつある。研究実施機関において新型コロナウイルス感染症による対人実験の休止が長期化したため、学術振興会の定めるところにより半年間の研究中断期間を設けたものの、上記のように着実に論文執筆等が進捗しており、全体として順調に研究が進展したと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降の研究推進方策として、仮に新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着き、対人実験が通常通り遂行可能になったとすると、腕運動における定位メカニズムを明らかにするため、視覚標的に対する腕の到達運動・把持運動をテーマに視覚座標系と腕座標系が統合される脳内メカニズムを検討する予定である。さらに、経頭蓋磁気刺激法(TMS)などの脳刺激手法を用いて、局所脳活動を時間限局的に抑制した際の定位行動の変調を調べることで、脳活動と定位行動との因果関係をより明確に明らかにすることを予定している。
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Research Products
(4 results)