2019 Fiscal Year Annual Research Report
キブクレハボウキ属多毛類を用いた骨片生成機構の解明
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19J00160
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
自見 直人 国立極地研究所, 研究教育系生物圏研究グループ, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 分類 / 系統 / 骨片 / バイオミネラリゼーション / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子系統解析において必要となる比較対象である多毛類の各科、なかでもハボウキゴカイ科、クマノアシツキ科、ミズヒキゴカイ科30種以上の標本を重点的に収集した。これらの標本はそれぞれCOI, 16S, 18S, 28Sの遺伝子領域配列を既に決定した。これらの種においては分類学的な整理をまず行い、未記載種である場合は記載した(または記載している最中である)。これらの成果については各学会において発表および論文としての出版を行った。 南極においても東京大学の白鳳丸の調査航海に参加しサンプリングを行ったが、残念ながら対象となるキブクレハボウキは採集されなかった。しかし、南極域周辺の深海にのみ生息するハボウキゴカイ科Ilyphagus属を採集することができたため、研究のクオリティを向上することができたと考えている。さらなるサンプリングを続けより頑強な分子系統樹を構築したいと考えている。合わせて南極域でのキブクレハボウキの採集に向けて、潜水訓練等の準備を行った。比較対象としてのハボウキゴカイ科各サンプルについても日本各地で集めており、安定した採集ポイントを発見するに至っている。今後比較検証する際の足がかりとするために現在はまず系統的位置と分類学的位置を把握している段階である。 また、骨片をもつ他の種を発見したことにより、多毛類における骨片の多系統的な進化がさらに支持されることになった。本種についても並行して研究を進めることにより、多くの証拠に基づいた研究が可能になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に計画していた内容は概ね実行できている。また、予期していなかった新たな骨片を持つ種の発見により、さらに研究の余地が増えたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCOVID19の影響によりサンプリングがどのように実行できるか不透明である。また、ラボワークについても見通しは立ちづらい。現在は論文執筆や顕微鏡観察等、できるところから進めていき徐々に計画実施のためのサンプリングや分子実験・切片作業を実行できればと考えている。
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Research Products
(6 results)