2019 Fiscal Year Annual Research Report
災害と厄災の教育における経験と保護の諸相――アンカースミットの経験論に着目して
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19J00184
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 舜志 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 記憶 / 教育 / トラウマ / 経験 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、8月よりコロンビア大学にて客員研究員として研究を行った。 まず研究員の業務として、同僚とのディスカッションおよびワークショップが挙げられる。議題は主に国際的な記憶継承やそれに伴う政治的な問題であった。理論や知識の面で勉強になったのはもちろんのこと、共に議論した同僚たちがそれぞれ異なる国と地域出身であり、彼/彼女らも自らの経験を基に語るため、理論には還元できない、それぞれの固有の歴史や文化などについて知ることができた。 またコロンビア大学の大学院生向けの授業を聴講することが許されていたため(極力1,2コマに抑えるという条件の下ではあるが)、平和教育についての授業と、モノの哲学についての授業に参加した。平和教育の授業においては、アメリカで問題となっている学校の中の差別やヘイトスピーチに教師はどう対処するか、またモノの哲学についての授業では、マルクス・フロイト・ベンヤミン以降の、意識に従属せず、むしろ抵抗となるようなモノの地位をめぐる思想史を学ぶことができた。 また客員研究員の業務として、ニューヨーク近郊の大学やカレッジにて、ゲストスピーカーとして活動した。日本の広島や長崎、沖縄、そして福島をめぐる記憶継承について概括的に語り、学生たちとディスカッションした。 そして大学だけでなく、ニューヨークで活動するアーティストたちと交流した。特に日系アメリカ人の歴史をめぐる作品を発表し続けるアーティストとの交流は、今後も続けていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは、おおむね順調に進展していると言える。 ただし客員研究員としての仕事に追われ、学会発表や論文執筆に時間を割くことができなかったため、2019年度に得た成果の発表は、2020年度に行うことにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、2019年度は研究成果の発表を行うことが出来なかった。 したがって2020年度は積極的に学会発表を行う。 ただし、新型コロナウィルスの影響により、学会が開催されない場合、2021年度に行う可能性がある。
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