2019 Fiscal Year Annual Research Report
イネ根における4種類のアンモニウム輸送体の機能分担機構の解明
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19J00190
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小西 範幸 岡山大学, 資源植物科学研究所, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | アンモニウム / トランスポーター / イネ / 窒素代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.低濃度から高濃度のアンモニウム条件における3種類のアンモニウム輸送体1 (AMT1) の時空間的発現パターンを定量PCRと免疫染色によって解析した。いずれのAMT1遺伝子も低濃度のアンモニウムを長期間与えた場合に遺伝子発現が増大した。AMT1;1とAMT1;2は根端部と伸長部の表皮や成熟部の外皮に、AMT1;3は根端部の表皮に局在した。分子種間で部分的な組織分布の違いはあるものの、AMT1分子種はおおよそ共通した組織に分布することが分かった。さらにCRISPR/Cas9技術による単および多重変異体を作成し、この変異体を低濃度から高濃度のアンモニウムを窒素源として栽培した。低濃度のアンモニウム供与下でのみ、三重変異体や二重変異体の大きな生育悪化が認められた。この時、AMT1単変異体は野生型と同程度の生育を示した。これらの結果は、3種類のAMT1分子種が根の表皮や外皮組織で重複的に機能し、低濃度のアンモニウムを獲得することを示唆した。
2.細胞質のGS1が細胞膜のAMTと相互作用し、基質の拡散を抑制した迅速なアンモニウム同化に貢献すると仮説を立て、その証明に取り組んだ。GS1がAMTと相互作用するならば、GS1は膜タンパク質画分からも検出されるはずだと考え、イネ根由来のタンパク質を不溶性画分と可溶性画分に分けてGSに対するウェスタンブロットを行った。予想通りGS1は、不溶性画分においても可溶性画分と同程度の輝度で検出された。次に、不溶性画分タンパク質をショ糖密度勾配法によって分画し、GS1と細胞膜、液胞膜、ゴルジ体、小胞体の各マーカータンパク質の分画パターンを比較した。GS1の分画パターンは、いずれのマーカータンパク質とも異なり、これらのオルガネラには局在しないことが示された。当初の仮説を支持する結果は得られなかったが、GS1が膜画分に局在するという新奇な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種類のAMT1分子種とAMT2;1の機能解析については、ほぼ計画通りに研究が進んでいる。GS1とAMTは相互作用しないことが示唆されたが、GS1の膜局在が示されたので、今後はGS1と相互作用する膜タンパク質の探索を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
1. AMT1分子種の機能解析 引き続き生理機能の詳細を解析し、今年度中に論文として発表することを目指す 2.AMT2分子種の機能解析 これまでに単変異体と多重変異体を作成しているので、これらを用いて生理機能の評価を行う。 3.GS1と相互作用する膜タンパク質の探索 AMTとGS1が相互作用するという仮説を支持する結果を得られなかったが、GS1が膜タンパク質画分からも検出されることが分かった。このことから、GS1が何らかの膜タンパク質と相互作用すると仮説を立て、共免疫沈降による相互作用タンパク質のスクリーニングを行う。
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Research Products
(1 results)